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ID 2922
登録日 2007年 3月 2日
タイトル
浅草寺の「戦災樹木」で戦争を語り継ごう
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新聞名
JanJan
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元URL.
http://www.janjan.jp/living/0703/0703010821/1.php
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元urltop:
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写真:
 
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戦争が終わってから60年以上が経過した現在、戦争体験者は少数となりました。これから益々、戦争体験者は減っていき、やがて私を含めた戦争を知らない人たちが戦争を語り継がなくてはならない時代が やってきます。その時のために、「戦争を知らない人たちも戦争を語り継げるようになろう」という活動をしている人がいます。
 「『浅草・戦災樹木を伝える会』は、戦争未経験者が戦争を語り継ぐボランティア活動の会です。世の中に、戦争の語り部を一人でも多くつくる事が、この会の目的です。さあ、あなたも21世紀を生きるべく、戦争の語り部 になりましょう」(浅草・戦災樹木を伝える会HP「はじめに」から)と呼びかけているのは、岡崎屋惣次郎さんです。本職は講談人力車夫です。浅草を本拠地としながら、オートバイで人力車(惣次郎号)を引き、全国行脚も しています。モットーは「浅草で唯一客引きをやらない」、「観光の名所(明の部分)だけでなく、地元の人が隠したがる・あまり見せたがらない所(暗の部分)も紹介する」とのことです。
 その、「地元の人が隠したがる・見せたくない部分」の1つが、「戦災樹木」です。1年中、参拝者や観光客でにぎわう浅草寺(東京・浅草)境内には10数本の戦災・震災樹木があるのです。
 ガイド役の岡崎屋さんは境内で、「樹木を見れば、その街の歴史が見えてくると言われます。この東京・浅草も、今から60年前、戦災(東京大空襲)によって焼け野原になりました。でも、今なお、浅草寺境内の至る所で空 襲によって焼けただれた木々が生きており、人々に戦争の恐ろしさを訴え続けています」と説明してくれました。が、私にはどこにその木があるのか、見つけることができませんでした。というよりも、これまで数え切れな い程、ここを訪ねている私には、なかなか信じることができませんでした。
 そして、「その一番のシンボルが、あの木です」と浅草寺大イチョウ(推定樹齢600年)の前に案内されても、未だなおその木のどこが「戦災樹木のシンボル」なのか、分かりません。「それでは、木の裏側をご覧ください 」。岡崎屋さんに促されて木の裏側に回った私たちの目に入ったのは……。煤で真っ黒になった空洞の幹の内側でした。
   私は一瞬、頭の中と目の裏を何かで殴られたような衝撃を受けました。それは、戦争の実体験に近いものだったのかもしれません(実際に体験された方は、その何百分の一に過ぎないと思われるかもしれませんが)。
 そして、これが「戦争」というものだ、と実感しました。人々の命や、家を初めとする大切な物、人間以外の生き物、そして、樹木たちに大きな犠牲を強いるものが、戦争なのだ、という思いです。実際、この大イチョウが 被害を受けた1945年3月10日の東京大空襲では、10万人が命を奪われたと言われています。
 岡崎屋さんは、こう語り続けました。「この日落とされたのは焼夷弾ですが、この付近の家屋はほとんどが木造だったために、原子爆弾と同じくらいの犠牲者が出たのです」「これは、戦災に限ったことではありません。関 東大震災のときも、この浅草寺の五重塔や陵雲閣(木造12階建て)も焼失しました(写真にある「塔」という文字の場所に、かつての塔が建っていました)」  「このことは、今後日本の歴史と文化を守る時に重要なポイントになると思います。木は非常に燃えやすい。建造物は元通りに復元することはできますが、樹木は復元することはできません」「この大イチョウは、戦災を 受けるまで都の天然記念物に指定されていましたが、今では外されているそうです。ですから、なおさら『戦災樹木』として残す必要があるのです」  もう1本の大木は、外側が焼け爛れた部分と新しく再生した部分が共存しています。やはり、この木の裏側も空洞になって煤けています。しかし、ここに希望を見出すこともできました。痛みを伴いながらもたくましく生き 続け、私たちに戦争の悲惨さを訴えてくれています。
 私は、この「戦災樹木」を目の当たりにした体験から、改めて戦争の愚かさと犠牲の大きさを知ることができました。現在お元気な戦争体験者の方には、ぜひ、その体験を語り伝えてほしいですし、またそれを聞いた人 も、どなたかへ語り伝えてほしいと思いました。同時に、今なおこのように残っている戦争の傷跡を、1人でも多くの人に実際に見てほしいと思いました。
 最後に、戦災樹木の話を聞いた私の父の言葉を、紹介します。「戦争は未だ終わっていないんだ……」。
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このページの公開日は1999年11月12日。最新更新日はです。

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