ID 2769
登録日 2007年 2月15日
タイトル
西東京第2初中 50年ぶりの木の剪定
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新聞名
朝鮮新報
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元URL.
http://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2007/06/0706j0215-00003.htm
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元urltop:
-リンク切れ-
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写真:
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雲一つなく晴れわたった青空の下、授業中なので外で遊んでいる児童は1人もいない校庭に、「アンニョンハシオー(おはよう)」「オー、ワッソー?(来たのかい?)」というハラボジたちのゆったりとした声が
響く。
運動場へ下る階段脇の植え込みでは、全相道さん(72)がすでに、ウィーン、ウィーン、ガ、ガ、ガ、ガ、ガ…と、甲高いチェーンソーの音を鳴らしながら、ヒイラギモクセイの枝を切り落としていた。
ハラボジたちは孫やひ孫たちのために、昨秋から5回にわたって西東京朝鮮第2初中級学校(東京都町田市)の樹木の剪定をしている。3日に集まったのは14人。
在日本朝鮮人登山協会名誉会長の金英さん(81)は、「木を切るのは年寄りじゃないとダメ。若い人たちにはうまくできない」と胸を張る。「こういうことは経験がないと。数年後にこの木がどうなるかを想像しながら切らな
いといけないんだ」。
木の上で作業する人、下で枝を拾う人
金さんの話によると、校舎前の松の木は、創立以来50年以上も立っているものだという。「この情勢の中、学校が厳しい状況にさらされている。せめて学校を明るく、きれいにして、子どもたちが勉強も、芸術も、スポー
ツものびのびでき、毎日楽しく通える空間にしようと、仲間たちに呼びかけた。これが朝鮮新報で大きく紹介されれば、年寄りたちが座っているだけでなく、こんなこともできるんだ! と、力がわいてくるかもしれない」。
金さんの孫は13人。来年外孫が入学するという。
ヒイラギモクセイを切っていた全さんの孫は、4月に入学する予定だ。「ぼくらが手を加える前は木が生い茂って真っ暗だった。それをみんなに呼びかけて、ひとつひとつ手入れをしていった。孫が入学する時までに学
校を明るくきれいにしたい」。そう言いながら熱心に枝を切る全さんに、ほかのハラボジたちが「切りすぎだよ」「そんな切り方をしちゃあだめだ」と、ダメ出しをする。みな、それぞれ持論があるようだ。
約6千坪の敷地を持つ本校には、キンモクセイ、サクラ、柳、バラ、紅梅、イチョウ、松、プラタナスなど、十数種類の樹木100余本が植えられている。
地上から15メートルも離れた高台での作業は高所作業車を利用して
幼稚班横のプラタナスの木に上って作業をしていた崔永学さん(71)の娘は、幼稚班から中学卒業までこの学校に通った。「学校は同胞社会の中心。学校がなくなったら同胞社会もなくなる。学校は同胞たちにとってな
くてはならないもの」。
5年生と中学2年生の孫が通っている曺泰煥さん(72)は、「(高い所での作業は)ガリガリに痩せているから、風さえ吹かなければ大丈夫。家では盆栽をやっている。今は土の入れ替えの時期。こういうことは業者に任せ
ると楽だけどお金がかかる。学校を愛する人たちが集まって、やれることはやっていかなきゃ」と話していた。
この日は在日2世の李相運さん(56)も仕事の合間を見計らって応援に掛けつけた。「こんなに大掛かりな剪定は学校創立以来初めてのこと。長老たちががんばっている姿を見ると、1世たちがいるうちに、2世も何か
しなくては、という気持ちになる」と話した。
10日には運動場の整備も行われた
天野商会代表の姜正美さん(56)は、作業車3台と従業員を率いて応援にやって来た。この日一番の作業は、運動場に高くそびえるヒマラヤスギの剪定。下から見上げると20メートルはあるかと思われる巨大な樹木の
梢めがけて、高所作業車の作業台がゆっくりと首を持ち上げる。
ヒマラヤスギに上っているのは金雪人さん(52)と鄭在洙さん(72)だ。2人は、朝鮮中央会館とかつての中央学院で造園作業を行っていた「専門家」で、金英さんの「登山仲間」でもある。手前の枝を切り落としながら幹
本体にロープを巻きつけ、上から5メートルくらいのところで慎重にチェーンソーを当てていく…。下では木の上から落とされたロープの端を持って、引っ張る準備。「ギィーーーン」という音とともに、木の上を見つめなが
ら少しずつ引っ張っていく。ドサッ! という音とともに舞い上がる砂煙。
大きなヒマラヤスギの切り方を相談する
4時間目の授業を終えて、全校生徒、児童が運動場に集まってきた。
木の上を見上げて、「ウワー、すごい!」「どうやって上がったんだろう!」「ハラボジ!」と飛び跳ねながら、歓声を上げる子どもたち。
「コマッスムニダ!」
運動場に子どもたちの声が元気いっぱい響いた。
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