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- ID:
- 40851
- 年:
- 2018
- 月日:
- 0226
- 見出し:
- 世界一孤独な樹木。ニュージーランドの最南部にあるキャンベル島に1本だけある針
葉樹、ベイトウヒ(シトカ ...
- 新聞名:
- BIGLOBEニュース
- 元URL:
- https://news.biglobe.ne.jp/trend/0226/kpa_180226_5136114784.html
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- 記事
- 0_e0 そこに仲間の樹木はいない。草や低木はあるが樹木は1本だけだ。ギネスブックによると、ニュージーランドの最南部、キャンベル島にある針葉樹のベイトウヒ(米唐檜:シトカスプルース)は、もっとも人里離れたところにある「世界一孤独な木」だという
このベイトウヒは厳しい環境の中、100年以上も1本だけ生き残った。そして今も元気に茂っている。ただし一般的なベイトウヒの形状とはだいぶ違うが
【世界最大級の過酷な環境にあるキャンベル島】 ニュージーランド最南端の町ブラフから700キロ南にあるキャンベル島は、世界最大級の過酷な場所だ。一年中強風が吹き荒れ、日照時間は600時間以下、雨が降らない日は1年のうちたった40日しかない。人間が生きていくにはまったく適さない場所である
1810年、アザラシ狩猟者のフレデリック・ハッセルボロウによって発見され、アザラシ狩猟の拠点となっていたが、島のアザラシはほぼ絶滅してしまってからは、気象調査のために研究者がたまに訪れる以外は、50年間見捨てられていたような島だ
Baxter-Campbell-Island_eimage credit:キャンベル島の気象観測所 Baxter-Campbell-Island【草や低木はあっても樹木は1本だけ】 その過酷さは木々にとっても同様で、強風に耐えられる草や低木が島を覆うだけ。だから、たった1本の大きな木がぽつんと生えている光景は、とても印象的だ
このベイトウヒは、もっとも近い樹木から200キロ以上も離れたところに1本だけ存在しているのだ
4_e0image credit:youtube【キャンベル島にベイトウヒがある理由】 このベイトウヒは、変わり者だったニュージーランドの総督ランファーリー卿が、1901年から1907年の間に植えたものと言われている
なぜ、彼がここに樹木を植えようとしたのか、その理由はわからないが、この不毛の島がなんの利益も生み出さないことを嘆いて、生産性が望める森林を作ろうとしたのではないかという
ベイトウヒは音響的な性質に優れており、ピアノやバイオリンなどの楽器製造や軽いため、かつては木製飛行機に使用されていたという
【1本だけ生き残ったベイトウヒ】 厳しい気候のせいで、このアイデアは実を結ばなかった。だが、どういうわけかこの一本のベイトウヒは1世紀以上も生き延びているだけでなく、元気に繁っている
3_e0image credit:youtube【キャンベル島のベイトウヒが独特の形をしている理由】 世界一孤独な木という評判はさておき、キャンベル島のベイトウヒにはほかにも一連の特徴がある。まず、見た目が木というより、巨大なカリフラワーのような形をしている。これは、長い間、毎年繰り返して幹が切られたせいでこうした形になったと思われる
ちなみに一般的なベイトウヒはもっと上に高く伸びている(下画像参照)Sitka_01_eアメリカ、ワシントン州オリンピック公園にあるベイトウヒimage credit:wikimedia 1958年にキャンベル島にあった測候所が完全自動化される前までは、駐在スタッフが毎年クリスマスツリー用に、このベイトウヒの上の部分を切っていた
この木は毎年切られてもしぶとく生き残り、その過程で徐々にこのような形になっていった。幸いなことに、自動化後の60年間は、木を切る者が誰もいなくなったため、現在では10メートル以上の高さまで成長している
8_eimage credit:youtube【地球が新時代へ突入したことを証明するキャンベル島のベイトウヒ】 この孤独の木のもうひとつの特徴は、樹齢100年以上なのに球果ができたことはないことだ。専門家は永久に成熟しないままの木ではないかという
00_e一般的なベイトウヒの球果image credit:wikipedia キャンベル島のベイトウヒは最近ニュースになり、研究者が地球が新たな地質学的新時代、人新世(人間が地球の生態系や気候に大きな影響を及ぼすようになったエポック的な時期のこと)に入ったことを確認する助けになった
木の芯から採取したサンプルから放射性炭素スパイク、別名ゴールデンスパイクを見つけ、そこからわたしたちの世界がまったく新たな時代へ入ったことを確認したという
The World's Loneliest TreeReferences:livescience / nature / en.wikipediaなど/ written by konohazuku / edited by parumo
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