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- ID:
- 40564
- 年:
- 2018
- 月日:
- 0126
- 見出し:
- 夜は枝の先端を下げて眠る。世界で初めて眠る木々の姿を観察(ハンガリー研究)
- 新聞名:
- BIGLOBEニュース
- 元URL:
- https://news.biglobe.ne.jp/trend/0126/kpa_180126_7988775928.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
- 木々も眠る。彼らはいびきをかいたりはしなが、枝先を下げる時にギシギシと音を立てることはあるかもしれない
世界で初めて、夜になると眠っているかのような変化が木々に生じることが実証された。少なくとも、小さな植物では昼と夜のサイクルがあることが実験によって観察された
カバノキの枝の先端は夜になると10センチも垂れ下がるのである
Trees 'sleep' to rest their branches【世界で初めて確認された眠る木々】 「はっきりした現象で、木の全体で起きます」とハンガリー、生態系研究センターのアンドラス・ジリンスキー氏は話す。「樹木全体でこうした現象が観察されたのは初めてのことです」 研究チームは、日没から日の出までの間、オーストリアとフィンランドの木にレーザーを照射し、それが枝葉から反射されて戻ってくるまでの時間を計測した。ここから各樹木の3次元の動きを数センチ単位の精度で測定した
winter-landscape-2995987_640_e【闇の中で垂れ下がる枝】 研究の対象となったのは、フィンランドとオーストリアに生えていた2本のカバノキだ。一晩の間、フィンランドの木については11回(1時間におよそ1回)、オーストリアの木については77回(10分におよそ1回)スキャンを実施した
写真を撮影するのではなく、レーザースキャンが採用されたのは、夜間に照明で照らすことの影響を防ぐためだ。また風の影響を避け、両国の夜の長さがほぼ等しくなるよう、分点の天候が穏やかな夜に実施された
2_e2レーザースキャンした木。左が夜、右が昼。枝が垂れ下がっているのがわかるimage credit:Vienna University of Technology 枝の垂れ下がりは、おそらく細胞内の水圧(膨圧)が低下することが原因だと考えられている。これによって枝葉から硬さが消えるため、自重で余計に垂れ下がるようになるのだ
膨圧は光合成の影響を受けている。そのため日が落ちて光合成が停止すると、膨圧もまた低下し、垂れ下がるという仕組みである
【木にも睡眠サイクルがあるのか?】 木は枝をも休めているのかもしれない。昼の間、枝と葉はできるだけ日光に多く当たれるように角度を上げる。しかしこれはエネルギーの要ることであり、夜間にやっても何の意味もない
では、この垂れ下がり現象は、睡眠サイクルに応じて木が自発的に行っているものなのであろうか、それとも昼と夜では水と光の量に差異が生じるため自ずと生じる受動的なものなのであろうか? 「これについてはまだ何とも言えません」とジリンスキー氏は言う
night-2539411_640_e_e【他の樹木種の睡眠調査】 今後、研究チームは他の樹木種も”眠る”のかどうか確認する予定だ。だがジリンスキー氏は、その可能性についてかなり自信があるようだ
研究対象候補として有力なのが、ゲノム解析が終わり、概日リズム関連の遺伝子が特定されたポプラとクリの木である
これまで遺伝子の発現などから、木の概日リズムについての研究が進められてきた。例えばヒマワリの概日リズムは幹の中を運搬される水量に関連することが判明している。当然、その運搬に関しては水の供給量だけでなく、植物が自発的に制御している可能性も疑われていた
樹木が水の供給を管理している方法を解き明かすことは、気候変動や天候不順に森林がどのように反応するのかさらに理解することにもつながる
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