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- ID:
- 40294
- 年:
- 2017
- 月日:
- 1218
- 見出し:
- 「猫の使い心地」優先で商品開発…愛用者5万人
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元URL:
- http://www.yomiuri.co.jp/economy/20171218-OYT1T50034.html?from=ytop_ylist
- 写真:
- なし
- 記事
- 盛岡市の猫用品販売会社「クロス・クローバー・ジャパン」が、岩手県内の職人の技術や県産素材を生かして開発した商品が、全国の猫好きたちの人気を集めている
同社の太野由佳子社長(40)は、「猫と人間の『通訳』として、猫にストレスを感じさせない商品を作っていきたい」と意気込んでいる
猫が食べやすい角度に加工した食器に、県産木材を使って長く愛用できる爪研ぎ器、南部鉄器の食器置き――。同社が販売する約30点の猫用品の随所には、猫の使い勝手を一番に考えぬいたこだわりと、県内の職人たちの技が隠されている
猫の寿命は20年とも言われる中、「猫が一生使える高品質の商品」が売りで、グッドデザイン賞にも選ばれるほどの高いインテリア性も口コミで話題となり、現在、同社商品の愛用者は全国で5万人に上るという
それらの商品の企画や販売を手がけるのが、同社の太野社長だ。以前は医療機器メーカーで働いていたが、「好きなことを仕事にし、人生の最後まで仕事がしたい」と27歳で起業を決断。自身も猫好きだったことや、県内の動物愛護団体で猫の世話をするなどのボランティア経験もあり、2005年に猫と犬のペット用品を販売する会社を設立した
当初は仕入れた猫用品を販売していたが、顧客から寄せられる意見が気になった。「猫用のペット用品が少ない」。今では「ネコノミクス」と呼ばれる経済効果をもたらす猫ブームで多くの猫用品が並ぶが、当時は少なく、小型犬用の商品が転用されていたという
「ないなら作ってみよう」。08年頃から猫用品の開発を始めた。商品の構想はあったが、それを作ってくれる業者がない。電話帳を引っ張り出し、県内の職人たちに片っ端から連絡を取った。「猫好きのただの道楽」と追い返されることもあったが、「岩手の職人たちの高い技術なら、思い描いた商品を製作できる」と段ボールで自作した試作品を持って通い詰め、協力を得た
開発には猫たちの協力も欠かせない。自身が飼う猫2匹にも「社員」の一員として、商品を試してもらう。猫の使い心地を探るうちに、県産木材や南部鉄器などの優れた県産材を使うことが自然と多くなっていった
来年1月には、猫用品を人間用のサイズに拡大製作し、飼い主が猫の気持ちになって試せるコーナーを同社に設ける。海外からの問い合わせもあり、19年の海外進出を目指し、来年は準備を進めるつもりだ。「猫にとって本当に良いモノを再定義していきたい」と太野社長。猫のためのアイデアと意欲は尽きない
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