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- ID:
- 35016
- 年:
- 2016
- 月日:
- 0307
- 見出し:
- 伊豆桜1000本 南三陸彩る
- 新聞名:
- 中日新聞
- 元URL:
- http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20160307/CK2016030702000093.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
- ◆三島の団体 植樹継続三島桜プロジェクトが植樹した桜に花が咲き、復興への期待を膨らます及川さん=宮城県南三陸町で写真 伊豆の桜で元気になって-。三島市のボランティア団体「三島桜プロジェクト」が宮城県南三陸町を中心に東日本大震災の被災地で、伊豆半島のご当地桜の植樹を続けている。震災直後から五十四回訪問して贈った桜は千本を超えた。プロジェクト理事の山岡修一さん(74)=三島市文教町=は「いつか桜の名所となり、南三陸のみんなに花見を楽しんでもらいたい」と夢を語る
造成に使う土の山がいくつも連なる南三陸町の志津川地区から車で三十分。石巻市境にある神割崎(かみわりざき)キャンプ場で二月下旬、一本の桜の木に一輪の花が咲いた。日本一早咲きとされる、あたみ桜だ。地元の熱海市では見頃が終わる時期。長く厳しい東北の冬の真っただ中でも、一足早く春を告げた。あたみのほか、河津桜、三島桜の三種類を中心にメンバーがキャンプ場だけで三百本を植えた
上から三島桜、あたみ桜、河津桜写真 始まりは二〇一二年秋、三島市内の飲み屋に集まる仲間で語り合ううち、伊豆の桜を贈ろうと話が進んだ。山岡さんがボランティアで訪れた南三陸を植樹先に選んだ
全国で見られるソメイヨシノではなく、伊豆のご当地桜にこだわった訳は開花時期にある。河津とあたみの早咲きの二種類は通常一~二月に咲く。東北地方では一カ月以上遅れるものの、山岡さんは「被災者の気分が落ち込む三月に咲けば元気づけられる」ともくろむ。ご当地桜を植えることで「地域同士のつながりもできる」と考えた
募金活動で苗木を買い、市内の造園業者や建設業者らと現地を訪問した。住民から要望のあったキャンプ場や復興住宅、老人ホーム、個人宅に植え続けた。「桜の時期は震災の悲しみを思い出すだけでなく、未来に向けて歩む記念樹になる」と、住民からの感謝の手紙も百通以上届き、南三陸との絆が深まっている
震災直後、全国から多くの人が被災地へ桜の植樹に訪れた。ただ、南三陸町でプロジェクトに協力する飲食店経営の沢田力さん(60)は五年たった今も続ける団体は多くないと指摘する。「植えっ放しで枯れてしまったものもある」と話す。町内では仮設住宅に住んだり、引っ越したりと地域がバラバラになり、地元の人たちがまとまって手入れに取り組むのは難しいという
写真 山岡さんは「植えてから数年は肥料や周辺の草刈りが必要」と活動継続の重要性を訴える。四月にはキャンプ場で花見をしつつ、三島の野菜と三陸の海の幸を楽しむイベントを開く。植樹と手入れも行う
キャンプ場に桜の様子を見に来た地元の及川吉郎(きちろう)さん(54)は「春も近い。震災で中断していたまつりを、この場所で五月に復活できるかもしれない」と喜ぶ。「また人が集まる場所になれば」と膨らむつぼみを眺めた
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