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- ID:
- 38766
- 年:
- 2017
- 月日:
- 0613
- 見出し:
- 「早生樹」、順調に成長 県、15年秋から試験開始
- 新聞名:
- 中日新聞
- 元URL:
- http://www.chunichi.co.jp/article/fukui/20170615/CK2017061502000030.html
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- 【写真】
- 記事
- 県はスギに比べて早く成長する「早生樹(そうせいじゅ)」として、センダンとコウヨウザンの栽培試験に取り組んでいる。ともに一年目の幼木段階から成長は順調。県内の林業ビジネスのサイクルを高速化させる可能性を秘めており、林業関係者も注目している
人工林のスギやヒノキは合板や柱に利用できるまでに四十~五十年、幅広い住宅建築物に使えるまでには八十年かかる。だが、センダンやコウヨウザンは二十~三十年で木材利用が可能。西日本を中心に植える動きが広がっており、県も二〇一五年十一月から県内での適性を判断するため栽培試験を始めた
試験地は福井市大年町の耕作放棄地と坂井市丸岡町竹田地区の山、大野市篠座(しのくら)の平地の三カ所。両樹種の苗木を各三十本とスギを植え、それぞれの成長を比較している
試験を担当する県総合グリーンセンターによると、植栽時の大きさはセンダンが十センチ、コウヨウザンが四十センチほどだった。一年間の成長量は福井と大野両地点の平均で、センダンが四十~七十七センチとスギの二・二~三・〇倍、コウヨウザンは三十六~四十一センチとなり一・六~二・〇倍のスピードだった
黒田美穂主任研究員は「思った通りの良い成果が出ている」と評価する。スギに代わる造林樹種に採用できるかどうかは、今後の成長、雪への耐性、木材としての評価などを総合的に判断する必要がある。県森づくり課の牧野康哉課長は「試験地を増やし、他の早生樹も試したい」と話す
早生樹には、林業関係者の期待が大きい。県産スギ(原木)の価格はこの三十年余りで七割も下落。山の木を「孫の世代を考えて育てる」という旧来の林業では、採算が取れなくなっている。県森林組合連合会の関孝治会長は「成長率の良い木はぜひとも必要。先進地を視察し、われわれも勉強していきたい」と期待を寄せる
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