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- ID:
- 38200
- 年:
- 2017
- 月日:
- 0414
- 見出し:
- マングローブ林減少に警鐘 岐阜大名誉教授が研究本
- 新聞名:
- 岐阜新聞
- 元URL:
- https://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20170414/201704140914_29429.shtml
- 写真:
- 【写真】
- 記事
- 東南アジアなどの海岸沿いに茂るマングローブ林の変貌とその原因を35年間にわたって調べてきた岐阜大応用生物科学部の小見山章名誉教授(65)=森林生態学=が、研究の集大成となる書籍「マングローブ林 変わりゆく海辺の森の生態系」(京都大学術出版会発行)を著した。この半世紀で世界のマングローブ林の75%(現存量ベース)が失われたと試算し、「森林は樹木だけでできているのではない。そこに生きる生物群を失うと、樹木があや取る生態系が復元できなくなる」と警鐘を鳴らしている
タイ南部にあった世界最大級の原生林などの調査地を毎年1~2カ月間程度訪れてきた。マングローブ林では落ち葉を食べる貝やカニ、魚などが樹木と共生していることを実感し、初めて足を踏み入れたときの感動を「まるで生き物の万華鏡をのぞくようだった」と懐古した
「樹高は高く、林床は泥の湿地をなして大小の支柱根で隙間なく覆われ(中略)さながら根のジャングルジムのよう」。根の現存量を推定する調査で、潮の満ち引きも考慮し、泥水に漬かって根を掘り出す作業に悪戦苦闘したこともつづった
エビの養殖や炭焼き、スズ鉱石採掘などの影響で東南アジアの原生林はほとんどが姿を消したと指摘し、タイ調査地の変遷も写真で紹介。明暗や乾湿の差、冠水の有無など環境の違いを利用して暮らしていた生物の多様性が伐採後に育った二次林では失われたといい、「森林破壊はよほど必要でない限り避けるべき」と強調した
種子不足を補うための増殖方法を研究するなど、タイ当局によるマングローブの植林を支える小見山さん。「長期のフィールド研究や自然の復元・保全に興味のある人の参考になれば」と話した
書籍はB6変判、約280ページ。定価2千円(税別)。岐阜大生協やインターネット書店などで購入できる
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