v10.0
- ID:
- 38156
- 年:
- 2017
- 月日:
- 0412
- 見出し:
- みやざき新巨樹100選
- 新聞名:
- 宮崎日日新聞
- 元URL:
- http://www.the-miyanichi.co.jp/kuroshio/_25289.html
- 写真:
- なし
- 記事
- 「心の琴線に触れる」とはよく聞くが、あえて形を与えればこういうたて琴になるのではないか。30周年を迎えた宮崎市のハープ奏者グループ「リラの会」の演奏会で思った
まさに心のひだをなでるように優しい音色がしみてくる。圧巻は10台のハープが並んだアンサンブル。ソロやオーケストラの中で聴くことはあっても、こうして複数そろえて聴く機会はまれで、詳しい人によると全国でもハープの盛んな本県だからできたという
ほかにも新鮮な驚きがあった。ハープを専門に制作する会社は、国内では福井県だけにあり、しかも世界的にも有数のメーカー。ギリシャ神話やケルト音楽が真っ先に浮ぶ洋楽器だが、日本人の心に浸透した「和」の楽器といえそうだ
弦を指ではじくと木材の共鳴板を響かせ、空洞の胴体の中で音が膨らみ穴から音が出る。天然の素材だからこそ音には生命感が宿るのだろう。本体の木材は海外産がほとんどだが、国産材を使う試みも進んでおり、ますます日本的な情感を響かせるのではないか
樹木は枯れたり、必要に応じて伐採されてからも建材や楽器の材料として新たな生を保つ。25年ぶりにリニューアルした本県の「みやざき新巨樹100選」に、森林のパワーから恵みを受けてきた県民の暮らしのシンボルを見る思いだ
新たに選定したのは18本で、樹種は実に16種類。それほど本県の植物相は豊かであり、それぞれの特性を先人は見分け、生活に生かしてきた。豊かな森林資源を次代に引き継ぐために、樹木が発する多彩な音色を聴き逃さないようにしたい
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