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- ID:
-
35961
- 年:
- 2016
- 月日:
- 0723
- 見出し:
- ナッツ加工メーカーで40年間、未知の樹木と共に歩んだ神戸の“花咲かじいさん”
- 新聞名:
- dot.
- 元URL:
- dot.asahi.com/dot/2016072000256.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
- アーモンドの花を見たことがあるだろうか
桜とよく似た白やピンク色の可愛らしい花で、日本では毎年3月中旬ごろに咲く。そんなアーモンドの木を、神戸市の庭園で約40年にわたってお世話し、毎年美しい花を咲かせ続けている男性がいる
ナッツの加工メーカー、東洋ナッツ食品(本社・神戸市)の中野喜光さん(75)だ。1970年代後半、同社が米カリフォルニアの取引先からアーモンドの苗木を贈られて以来、ずっと世話係を務めている。2001年の定年までは、他の業務と兼務だったが、定年後は、総務部付の「庭園管理人」として、専業でアーモンドを含む広さ1646平方メートルの庭園の樹木を管理している
鹿児島出身の中野さんが、職を求めて神戸にやって来たのは1966年。東洋ナッツ食品に入社し、工場で働いていたが、先代社長、中島泰介さん(故人)から見込まれ、アーモンドの世話係に任命された。「趣味で園芸をしていたのが先代の耳に入ったようで。枯らしたら大変だ、という思いでした」と当時の気持ちを振り返る
アーモンドが日本へ本格的に輸入され始めたのは1950年代だが、栽培するとなるとまた別の話。今でこそ「バラ科サクラ属」に属していると分かるが、「当時はどの果樹の仲間なのかも分からなかった」(中野さん)。図書館に通い詰めて園芸の本を読み漁ったが、アーモンドの栽培についての情報はどこにもなかった
兵庫県内の農業改良普及センターにも足を運び、専門家に相談したが、詳しい情報は得られない。「肥料をやってみたり、接ぎ木をしてみたりと、手探りで栽培を続けていった」(中野さん)。当初は栽培のポイントがつかめず、苗木が枯れることもあったが、徐々に接ぎ木の成功率が上がっていった。専門的な知識も蓄積されていき、やがて毎年美しい花を咲かせるようになった
春に咲いた花が散り、受粉した実が大きくなっていく初夏は、中野さんが忙しくなる時期だ。午前8時半に出社し、蒸し暑い庭園で、夕方までせん定や摘果(果実を間引くこと)、草刈りなどに追われる。時には他の社員の手も借りるという
カリフォルニアなど、雨がほとんど降らず、からっとした気候の地域で育つアーモンドにとって、湿度が高く、じめじめした日本の梅雨は大敵だ。中野さんはカビが生えたり、病気にかかったりしないよう、木々の状態を細かくチェックする
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