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- ID:
- 35622
- 年:
- 2016
- 月日:
- 0612
- 見出し:
- トトロの樹 救った物語…西荻窪
- 新聞名:
- -
- 元URL:
- http://www.yomiuri.co.jp/local/tokyo23/news/20160612-OYTNT50008.html?from=ycont_top_photo
- 写真:
- 【写真】
- 記事
- ◆伐採反対 住民の活動 絵本に 近隣住民から「トトロの樹」として親しまれるケヤキの大木を描いた絵本「坂の上のケヤキ~キセ木の物語~」が出版された。伐採の危機にあった大木を救った地域の活動を伝えようと、地元の作家がケヤキと住民たちを主人公にした物語を創った
ケヤキは樹齢90年ほどで、高さ約19メートルの大木。JR西荻窪駅から徒歩10分ほどの住宅街にある「坂の上のけやき公園」(杉並区西荻北)のシンボルとなっている。青々と葉が茂り、日中は近所の子供たちが周囲ではしゃいだり、木陰に置かれたベンチでお年寄りたちがおしゃべりを楽しんだりしている
伐採の危機を迎えたのは2008年。所有者が建設会社に土地を売却し、マンションを建設する計画が浮上した。それを知った住民たちが署名活動を展開し、約8600人の反対署名を杉並区長に提出した。区では住民の要望を受けて、土地を買い取り、公園として整備した
署名活動の中心となったのは、近くで喫茶店を開く山中啓倭子けいこさん(40)ら。小学生や、過去に桜の大木が伐採されて心を痛めた区民、他県で環境保全に関わる人など、様々な人が協力した。この活動を多くの人に知ってもらおうと地元の作家、天高文てんこうぶんさん(66)らが朗読劇を作った。昨年末に山中さんの喫茶店で上演したところ好評で、絵本の制作につながった
やわらかいタッチで描かれた絵本では、伐採を逃れたケヤキが青年の姿となり主人公の前に現れ、語りかける場面がある。「希望を持って、信じて、あきらめなければ、夢は叶かなうものですから……」 山中さんは「1人では無理でもたくさんの人が力を合わせれば夢がかなうと教わった。この絵本も誰かを勇気づけられたらうれしい」と話している
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