v10.0
- ID:
- せん
44980
- 年:
- 2019
- 月日:
- 0531
- 見出し:
- ワインに悪さするやつらをクンクン嗅ぎ分けるワンワン
- 新聞名:
- yahoo
- 元URL:
- https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190528-00000001-courrier-life
- 写真:
- 【写真】
- 記事
- 盲導犬、牧羊犬、トリュフ犬、麻薬探知犬……いろいろな形で人類のために働く犬たちがいる。最近、ワイン生産者たちのために働くよう訓練されている犬たちがいるという。だがなんのために? 米経済メディア「ブルームバーグ」が各地の取り組みを紹介──
なぜ樽板を嗅ぐのか午前6時半、チリのカサブランカバレーで、サンバとマンバという2匹のラブラドールレトリバーが、積み重ねられたオーク材の樽板を引っかき、クンクンと嗅いでいる。この板はワイン樽になるものだ
国際的な樽メーカー「TNクーパーズ」は、この2匹の卓越した鼻を頼りにしている。その鼻は、木材に含まれている有害な化合物TCA(2,4,6-トリクロロアニソール)とTBA(2,4,6-トリブロモアニソール)を突き止められる。それらを含んだ木材で作られた樽にワインを貯蔵すると、風味と香りがだめになってしまうのだ
犬たちがなにか見つけたというサインを訓練者に送ると、ご褒美のおやつがもらえるようになっている。30分間の任務が終わると、休憩に入り、また別のチームが任務にあたる
この優れた犬たちは、同社の急成長する「ナティンガ・プロジェクト」の顔であり、ブドウ園の害虫やワイナリーの大惨事を防ぐために、特別に訓練された犬が活用できるという最新の実例を示している
「犬たちは現代テクノロジーよりも正確で効果的です」と言うのは、TNクーパーズのソノマ事務所に住み込みでワインづくりをし販売マネージャーも務めるマイケル・ピーターズだ
犬の嗅覚は、人類の1万から10万倍鋭い。嗅細胞がわれわれの600万個と比べて3億もあるおかげだ。ロボットテクノロジーも追いついていない
そんなわけでこの「人類の親友」は、逃走者を追跡し、倒壊した建物のなかに閉じ込められた人々を発見し、スーツケースに隠しおおせたと思ったイタリアンソーセージを税関で嗅ぎつけ、爆弾を爆発前に発見し、高価なトリュフを狩る、不可欠な手段となっているのだ
ワイン業界では、どこのワイン生産者にとっても致命傷となるTCAやその親類を検出するために犬たちが活用されている
少量のTCAでも強い作用があり、ワインがカビ臭く、濡れた段ボールのような臭いと味になってしまう「コルク汚染」のおもな原因になる
たいていの人はそれがおよそ1兆分の5、たとえればオリンピックサイズのプールに数滴の濃度でも気づくと、ジェイミー・グッドは新著『非の打ちどころなし──ワインの欠点を理解する』(未邦訳)で述べている
これはただのコルク問題にとどまらないとピーターズは言う
「樽板として使われる木材、プラスチックのホース、ポンプ、シリコン栓(ワイン樽の栓)までも汚染してしまいます」
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