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- ID:
- 44356
- 年:
- 2019
- 月日:
- 0322
- 見出し:
- なぜ1本だけで立つ? 鈴鹿「長太の大楠」
- 新聞名:
- 中日新聞
- 元URL:
- https://www.chunichi.co.jp/article/mie/20190320/CK2019032002000015.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
- 伊勢湾沿いの鈴鹿市南長太(なご)町にあるクスノキ「長太の大楠」。周囲は田畑なので高さ二六・五メートルの巨木は、よく目立つ。近くを走る近鉄名古屋線の車窓からも眺めることができ、鈴鹿のシンボル的存在だ
巨木が田園地帯で、ぽつんとそびえる不思議な風景に、休日ともなると多くの人が見物に訪れる。根元近くにはノートも置いてある。「元気をもらいました」「生きる希望が沸いてきました」と感想が記され、さながらパワースポットの感も。水を張った田んぼに映る新緑、朝日や夕日に浮かぶ大楠のシルエット…
写真愛好家の格好の被写体にもなっている
写真 では、なぜ一本だけ立っているのか。地元の大くす保存会長の杉野博祥さん(78)=長太栄町=が、謎解きをしてくれた。「それは、この地にあった大木神社のご神木だったから」 一九〇八(明治四十一)年、当時の国策で大木神社は近くの須伎(すぎ)神社に合祀(ごうし)された。社殿はなくなっても「巨樹には神が宿る」との日本古来の信仰からか、その後も一世紀余りこの地で命をつないできた
台風で葉や枝が飛ばされてしまい、樹勢が一時、衰えたこともあるが、保存会が懸命に手入れした。今も根元にわらを敷くなど、世話を続ける
杉野さんは「子ども時代、周りは桑畑で、池もあった」と振り返る。鉄道マンとして長年、勤務。定年後は、地域の人たちと県天然記念物のクスノキを守りながら、こう願う。「大楠は地域の宝。いつまでも元気でいてほしい」
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