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- ID:
- 43688
- 年:
- 2019
- 月日:
- 0116
- 見出し:
- 高難度の技 決まるけん玉
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元URL:
- https://www.yomiuri.co.jp/local/tottori/news/20190111-OYTNT50166.html
- 写真:
- なし
- 記事
- ◇「米村木工」 滑りにくい塗装 ◇プロも注目 米企業と共同開発 木材加工会社「米村木工」(鳥取市青谷町吉川)の競技用けん玉が、国内外で人気を集めている。約3年前、最初に手がけた観賞用けん玉は、さっぱり売れなかったが、玉を滑りにくくする塗装技術を使うとプロのプレーヤーも注目。米国のトップブランドから共同開発の申し出があり、先月には新製品の発売にこぎ着けた。(門前光) 同社は1930年に創業し、従業員は約30人。回転させた木材に刃を当て削り出す「挽ひき物」の技術で、こたつの脚や鍋のふたなどを製造してきた。82年からは泊村(現・湯梨浜町)発祥のスポーツ「グラウンド・ゴルフ」のクラブを作っている
約3年前からは新規分野を開拓しようと、工作機械をそのまま活用できるけん玉の製造に乗り出した。当初は和文様を中心にデザイン性を追求した製品を開発。2016年夏、「けん玉ワールドカップ(W杯)」が開かれた広島県廿日市市の会場で初めて販売した。だが、「複雑な模様があると玉の穴が見にくい」などと不評だった
「せっかくのチャンスを無駄にしたくない。徹底的に使いやすい物を作ってやろう」。そう決意した開発担当の柏健さん(45)は、W杯を主催する「グローバルけん玉ネットワーク(グロケン)」から競技用の製品の設計図を取り寄せ、助言を得ながら試作を重ねた
十字形のけんについては、あらゆる場所に玉を載せられるよう太さなどをミリ単位で調整。玉は、透明な塗料を熱して噴霧する技術でコーティングした。ゴムなどを塗り付ける一般的な製品と違って木の質感を残しながら適度な摩擦があり、玉が滑りにくいという
新しいブランドを「レガシス」と名付け、17年のW杯でお披露目した。すると、「今まで成功したことがない高難度の技もできた」などと評判を呼び、月平均約200個を売り上げる人気ブランドに成長。販売先は10か国を超え、海外のプレーヤーがレガシスを使った技の動画をユーチューブに投稿するようになった
18年2月には、W杯で同社の技術力に目を付けた米国のけん玉会社「グレインセオリー」から共同開発の打診があり、同年12月に新商品を発売した
「競技に使う人にも、見て楽しむ人にも満足してもらえる商品を作り、いずれは海外でも展示会を開きたい」と柏さん。グロケンの窪田保代表理事(37)は「米村木工の技術は世界から注目されている。日本を代表するけん玉企業になる日もそう遠くないのでは」と期待する
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