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- ID:
- 35177
- 年:
- 2016
- 月日:
- 0323
- 見出し:
- 復活願い巨大「梅の木」 青梅・梅の里の若者らモザイクアート
- 新聞名:
- 東京新聞
- 元URL:
- http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201603/CK2016032402000173.html
- 写真:
- 【写真】
- 記事
- ウイルス感染被害で約千七百本の梅の木が全て伐採された、青梅市梅の公園(梅郷)。一本も梅のない二度目の春を迎えた今月、園内に、巨大な「梅の木」が現れた。観光の目玉を失った地元を盛り上げようと、梅の公園とともに育った若者たちが立ち上がった。 (加藤健太) 巨大な「梅の木」は、十五センチ四方の色画用紙を貼り合わせて制作したモザイクアートだ。八色の画用紙を一万六千枚使い、満開のウメが咲き誇るかつての園内を再現。公園の展望場所から見下ろすと、縦十六メートル、横二十四メートルの巨大なアート作品が、殺風景な園内を華やかに彩っている
どの色画用紙にも、笑顔が描かれている。制作に協力した市内の園児や小中学生らが「最高の笑顔」をテーマに、梅の里の再生を願って描いた
公園は関東を代表する梅の名所だったが、現在は地面がむき出しになり、切り株だけが残っている
二〇〇九年にウイルス感染が発覚後、拡大を防ぐために木は一本ずつ切られ、一四年三月に最後の梅まつりを開催。同五月までに、全て伐採された
梅がない最初の春を迎えた昨年春は、代わりにスイセンや菜の花などを植えて集客を図ったが、例年の一割にも満たない七千五百人の来場にとどまった
そんな中、昨年五月、市内に住む若者たちが、地域活性化のために活動する団体を結成した。「青梅がピンチ。何とかしたい」。そう話す鍼灸(しんきゅう)師、高水盡(じん)さん(22)は、公園から最も近い市立西中学校の卒業生。大学生や会社員になった同級生ら、五人ほどで活動を始めた
「梅の里の再生に向けてたくさんの人を巻き込みたい」と、多くの人が参加できるモザイクアートを発案し、計画を立てた。竹内俊夫市長(当時)宛てに企画書を送ったところ、積極的な姿勢が認められ、市から制作費の補助を受けられることになった
市内の小中学校などに声をかけて「最高の笑顔」を描いてもらい、集まった絵でモザイクアートを制作。観梅時期に合わせて完成させ、今月六日にお目見えした。すでに多くの人が訪れ、展望場所に置いたノートには「すごく心に残った」「頑張りが伝わった」と、感想がぎっしり書かれている
団体の名は「涓滴(けんてき)衆」。わずかな水の滴も絶えず落ちれば岩に穴をあける、という意味のことわざに由来する。メンバーも十九~二十二歳の二十人ほどに広がった。代表の高水さんは「名の通り、一つ一つの活動は貧弱かもしれないけれど、絶えずやっていきたい。いつかきっとの思いで」
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