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- ID:
- 41621
- 年:
- 2018
- 月日:
- 0527
- 見出し:
- 海洋基本計画 国境離島の保全体制を築け
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元URL:
- http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20180526-OYT1T50208.html?from=ytop_ylist
- 写真:
- なし
- 記事
- 領土や領海を守る拠点として、国境付近の離島が果たす役割は大きい。安全が脅かされないよう国が着実に保全する仕組みを整えたい
政府は、今後5年間の指針となる海洋基本計画を閣議決定した。離島防衛など安全保障の強化を重視しているのが特徴である
中国は強引な海洋進出を図っており、北朝鮮漁船の違法操業も続く。海上保安庁の態勢を拡充し、関係省庁の連携を緊密にするなど総合的な施策を講じるべきだ
海洋基本計画は、重点項目として、国境離島の保全と管理を掲げた。525島の国境離島のうち、私有地がある98島について、海岸沿いの土地を中心に所有状況を調査する。新潟県の佐渡島や長崎県の対馬などが対象となる
国境離島は領海や排他的経済水域(EEZ)の基点だ。外国資本などが土地を取得していないか、現状を把握することが適正な管理への第一歩となる。関係自治体との協力も欠かせない
調査と並行して、政府は有識者会議を設置し、国境離島の土地の保全策などを検討する
水源地を含む森林が中国資本などに買収されるケースが相次いだことを受け、森林法は森林取得後の届け出義務を課している
外資を含めて、土地取引への規制は抑制的であるべきだが、安全保障に影響を及ぼすことが想定される場合は対策が必要だろう
国境離島に関し、政府はこれまで名称の付与や海図への記載、国有化などを進めてきた。継続的な取り組みが求められる
島の活性化を目的とした有人国境離島地域保全特別措置法の施行から1年が経過した。島民を対象にした航路・航空路運賃の引き下げや輸送コスト軽減などの経済支援を実施してきたが、人口流出に歯止めはかかっていない
いったん無人化すれば、海上警備や漁業の拠点としての機能の維持は難しくなる。島の魅力を生かした観光振興や、雇用の創出などを着実に進めるべきだ
海洋基本計画には、関係機関が海に関する情報を共有する「海洋状況把握(MDA)」の強化も盛り込まれた。海保や防衛省、水産庁などが集めたデータのほか、人工衛星からの情報を集約し、官民で共有できるシステムを作る
不審船の早期察知のほか、海上交通事故や自然災害への迅速な対処につなげることが重要だ
米国との協力関係をより強固にし、海洋監視の機能を充実させなければならない
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