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- ID:
- 41588
- 年:
- 2018
- 月日:
- 0525
- 見出し:
- 鬼の目山に天然スギ巨木 自然の希少性証明
- 新聞名:
- 宮崎日日新聞
- 元URL:
- http://www.the-miyanichi.co.jp/special/happynews/detail.php?detailid=1524744822
- 写真:
- 【写真】
- 記事
- 大崩山の南に連なる延岡市北方町の鬼の目山(1491メートル)に、天然スギの巨木があることを複数の登山愛好家が確認した。同山は九州本土では唯一の天然スギの自生地域で、14日に登録審査が行われる「祖母・傾・大崩ユネスコエコパーク」の緩衝地域に含まれている。専門家や同山に詳しい人たちにも把握されていなかった「鬼の目杉」が確認されたことで、あらためてエリア内の自然の希少性が証明された形だ
今回、確認された天然スギは同山山頂の南東部に存在。登山道から外れた支尾根にあり、標高約1200メートルの岩壁のわずかな平地に立っている。幹回りは約7メートル、高さ約8メートルでその姿はまるで“巨大な盆栽”。高さ約15メートルの幹もあったが、雷や風などによる自然災害で折れたとみられる
鬼の目杉に詳しい、綾ユネスコエコパーク推進室照葉樹林文化推進専門監の河野耕三さん(69)は「まだこういうのが残っていたとは」と驚く。ただ、この周囲は生えていたはずのスズタケは枯れ、保水能力の低下が懸念されるという
同山では伐採が進められていたが1985(昭和60)年の宮崎大による調査で天然スギであることが確認され、林野庁の林木遺伝資源保存林に設定された。うち1本は同庁の「森の巨人たち百選」にも選定。幹回り約5メートル、高さ約20メートルある鬼の目杉は、市民団体「フォレスト・マントル上鹿川」によって鹿の食害から守る活動が行われている
また、今回確認した登山グループのうちの一つは昨年から、ほかの鬼の目杉も複数確認した上で衛星利用測位システム(GPS)で正確な場所を特定、実測も行った。代表の小坂安則さん(66)=大分県別府市=は「枯れかけている木もあり保護は必要と感じた。場所が明確になったので登山ルート整備をすることで保護につながるのでは」と話す
天然スギが育つ条件は、低温で雨が多く、保水状態のいい花こう岩の地質で、岩峰地であることだという。河野さんは「氷河時代の生き残り。昔はほかの所もあったが、温暖化とともに広葉樹に追いやられて消滅し、九州では屋久島(鹿児島)とここだけ残っている。遺伝子的な遺産の価値が高い世界的な宝」
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