v10.0
- ID:
- 31214
- 年度:
- 2014
- 月日:
- 0828
- 見出し:
- 理想の木のうろを求めて
- 新聞名:
- デイリーポータルZ
- 元URL:
- http://portal.nifty.com/kiji/140828165017_1.htm
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- これは見ていてムカつくタイプの木のうろ
これは見ていてムカつくタイプの木のうろ
近所の慣れ親しんだ公園で、ずっと生えている木に違和感を持っていた。
その正体が「木のうろ」だったことに最近気がついた。
いろいろな木のうろを見てまわり、理想のうろを見つけたい。
藤原浩一
藤原浩一
(ふじわらこういち)
1986年埼玉生まれ、埼玉育ち。大学ではコミュニケーション論を学ぶ。しかし社会に出るためのコミュニケーション力は養えず悲しむ。インドに行ったことがある。NHKのドラマに出たことがある(エキストラで)。
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気づけばそこにいる「うろ」
いつも撮影などでお世話になっている近所の公園。
見慣れた風景にもう発見なんてないかと思っていたのだが、最近気がついた。木ってけっこう「うろ」あるなーと。
スタンダードな、うろ。
スタンダードな、うろ。
ちょっと痛々しいけど、これもうろ
ちょっと痛々しいけど、これもうろ
うろは下の方にあることもある。根系のうろ。
うろは下の方にあることもある。根系のうろ。
うろ。要するに木にあいた穴。ただちょっとふさがろうとしているところに生命力を感じる。
できる仕組みはこういうことらしい。
木の内側の細胞はほとんど死んだ状態。そのため太い枝が落ちたりしとき、樹皮は再生して傷が埋めようとするのだが、中央部分はそのまま。結果、空洞になる。
真ん中はうろだと思うけど上下のはどうなんだろう
真ん中はうろだと思うけど上下のはどうなんだろう
できる仕組みはともかくとして、ひとつ公園を歩いて回るだけでもいろいろなうろがあることが分かる。
僕の思いとしては、もっとまるくてぼっかりした感じのものが理想的だ。(満足してしまうとここで記事が終わる。)
理想のうろを求めて
うろを求めて移動してみよう。
山奥とかに行けばめくるめくうろにあふれているのだろうが、今回はとりあえず初級者編ということで街中限定で探してみたい。
ということで、もっと木がたくさん生えている公園へやってきた。
ここならいっぱいありそう
ここならいっぱいありそう
公園に足を踏み入れると、さっそくいいうろを見つけた。
まじめな仕事をしそう、という感じがする
まじめな仕事をしそう、という感じがする
うろの輪っかがまん丸で肉厚。見ていてすっとする、実直なうろである。
桜の木と違って樹皮が比較的滑らかなのも高評価だ(僕の中で)。
中は真っ暗でまじめが故に暗いものを抱えている…というように見える。
木のうろを覗き込むとき、木のうろもまたお前を覗き込む
木のうろを覗き込むとき、木のうろもまたお前を覗き込む
ケヤキのうろはこういった雰囲気のものが多かった。今後、ケヤキを見かけたらうろをチェックしておきたい。
ぜったい「ケヤき」って書いたのをごまかしてる
ぜったい「ケヤき」って書いたのをごまかしてる
うろの歪みが脳を刺激する
理想的ではないが、個性あふれるうろもある。うろの襞?の部分が歪んでいたりするものだ。
おっさんみたいなうろ
おっさんみたいなうろ
うろの上の部分の傷も相まって、顔のように見える。まるいうろや、控えめなうろが多い中で、こういうひねくれたうろは異彩を放つ。すごく下品なこと言ってそう。
中にはきゅっとすぼまったうろもある。樹皮が穴を閉じようとする生命力のあらわれである。
ちょっと見て欲しい。
見て、そして、これに人差し指を入れたところを想像してください
見て、そして、これに人差し指を入れたところを想像してください
ギュ…
ギュ…
上と下は違う気なのだが、ずっと指を入れっぱなしにしたら、そのうちうろに噛まれることになるだろう。
うろに指噛まれたらどうなっちゃうんだろうなあ。きっと体も木になっちゃうんだろうなあ。怖いなあ。
二重に「そんなわけない」のだが、どうしても想像してしまう。
こうして考えてみると、根よりも葉っぱよりも、木の中でうろが一番生命感があるような気がする。
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