v10.0
- ID:
- 31002
- 年度:
- 2014
- 月日:
- 0729
- 見出し:
- 「ハマボウの群落」
- 新聞名:
- 紀伊民報
- 元URL:
- http://www.agara.co.jp/modules/colum/article.php?storyid=277928
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
- 先日、白浜町のハマボウ自生地を訪ねた。国道42号から分かれて高瀬川沿いの細い道を河口に向かい、行き止まりになる辺りに、目指す群落があった。
▼高さ3メートルから5メートルほどの木のあちこちに黄色い花が咲いている。朝露に光るその花は、神々しいほどの鮮やかさ。さすがは紀南でも有数といわれる群生地である。
▼木道が整備されているから歩きやすい。道を間違う心配もない。足元でガサガサと音がする。目をやると、何百匹とも思えるカニが歩き回っている。大潮の時には海水が上がってくるというだけあって、海の生き物と陸地の生物が一体になって暮らしている。
▼取材している同僚に聞くと、辺りは10年ほど前まで雑木に覆われ、地元の人たちも群落の存在を知らないほどだったという。壊れた家電製品や空き缶などが捨てられ、ごみ捨て場のようになっていたそうだ。
▼そんなごみを地元の有志が撤去し雑木も刈り取って、ハマボウの下方に光が差し込むようにした。延長約400メートルの木道も整備し、安全に花を見て回れるようにもした。そうすると、ごみの不法投棄が一気になくなったそうだ。地元の人たちが懸命に環境を保っていることが、訪れる人々の美化意識を向
上させたのである。
▼環境保全は不断の実行力。日頃から熱心に努力していると、訪れた人々もそれに感化される。手を抜けば一気に悪化する。まるで、政治や社会のシステムと同じではないかと思った。
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