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- ID:
- 29686
- 年度:
- 2014
- 月日:
- 0217
- 見出し:
- スギと花粉と日本人
- 新聞名:
- 日本経済新聞
- 元URL:
- http://www.nikkei.com/article/DGXZZO66841290U4A210C1000000/
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 花粉症の季節がやってきた。この「国民病」の原因として、いつの間にか悪者扱いされてきたスギの木。実は昔から日本人と深い関わりを持ち、大切に植林、管理されてきた日本固有の植物であることは意外と知られていない。花粉症対策やスギ材再興への取り組みなどスギの今昔を追った。
スギ。学名クリプトメリア・ジャポニカは「隠された日本の財産」を意味する。1種1属の常緑の針葉樹で、日本にのみ生育する固有種だ。環境に適応する力が高く、病害に強い上に成長スピードも速く、二酸化炭素(CO2)の吸収量も大きいという優れた特徴をもつ。
福井県越前市のスギ山にまつられている八ッ杉権現。鎌倉時代から森の守り神として大切にされてきた
福井県越前市のスギ山にまつられている八ッ杉権現。鎌倉時代から森の守り神として大切にされてきた
スギの歴史をひもとけば、弥生時代には水田の矢板として利用され、室町時代には本格的な植林が始まった。軽量で加工しやすく、湿度を一定に保つ力を持ち、香り豊かで木目が美しいゆえに日本人の美意識を刺激してきた。太平洋戦争時には軍需目的で大量に伐採され、その後は復興を目的に全国
で大量に植林されてきた。
現在では日本の国土の約12%、約448万ヘクタールをスギの人工林が占めており、人の手で植えられ、管理、維持されてきた姿は、日本の風土を形づくってきたイネとも重なる。
スギに大きな転機が訪れたのは1964年の木材輸入の貿易自由化の時で、価格の安い海外産木材に取って代わられ、9割あった木材の自給率は7割以上を輸入に頼るまでとなった。伐採、植林がされないまま放置されたスギは大量の花粉をまき散らす存在となり、日光が差し込まなくなった土壌はやせ細り
、土砂災害を誘発させたといわれる。
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