v10.0
- ID:
-
29603
- 年度:
- 2014
- 月日:
- 0206
- 見出し:
- 早くも満開、宮崎・日南の寒桜 十数年の苦心が結実
- 新聞名:
- asahi.com
- 元URL:
- http://www.asahi.com/articles/ASG24578WG24TNAB00Z.html?iref=comtop_list_nat_n02
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 宮崎県日南市北郷町で見頃を迎えている桜がある。地元の花木栽培農家の黒木国光さん(87)が復員後、日本一の早咲きを目指し、十数年かけて交配を繰り返して生み出した独自種。地道な作業の繰り返しにも「頑張れば、いつかは夢はかなう」と、現代の花咲かじいさんは寒桜を見上げる。
黒木さんは、17歳で戦地へ。パラオで終戦を迎えた。復員した軍人らに帰農してもらう開拓事業で、5ヘクタールの山林を手にした。なたで切り開き、野菜を植え、花木の生産にも乗り出した。
取ってきた山桜を、油を染みこませた紙で囲い、昼は日の光で、夜は木炭で暖め続けた。正月に花を咲かせると、自転車で40キロほど離れた宮崎市などに行き、売った。「早咲きの桜ができれば、観光の目玉になるのでは」と考えた。
早く開花する山桜や八重桜などを見つけては、その花粉を他の花に授粉。育った木で早咲きした花や発色がいい花同士を交配させた。十数年の積み重ねが実を結び「日南寒咲1号」が生まれた。
「この手で美しい花を咲かせたい、との思いが支えだった。人生は短いが、桜は次世代へと受け継がれていく。子どもたちがこの桜を見て、未来への希望を感じてもらえれば」
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