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- ID:
- 29580
- 年度:
- 2014
- 月日:
- 0204
- 見出し:
- 堀切峠一帯でフェニックス枯死相次ぐ
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元URL:
- http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyazaki/news/20140203-OYT8T01384.htm
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 宮崎市の観光名所の一つ、堀切峠一帯で、県木の「フェニックス」の立ち枯れが相次いでいる。宮崎交通の創業者・岩切章太郎(1894~1985年)の発案で80年近く前に植えられ、南国ムードを演出、観光客や市民に親しまれてきた。宮崎交通OBらは「日南海岸の景観を守りたい」と保全活動に乗り出し
た。(尾谷謙一郎)
フェニックスは国道220号の堀切峠バス停から道の駅「フェニックス」までの約1キロにわたり、約60本が植えられている。「宮崎観光の父」とされる岩切が景観づくりの一環で1936年から取り組んだ事業の一つで、戦後の新婚旅行ブームを支えてきた。
立ち枯れが見られるようになったのは数年前から。葉が抜け落ちるなどして、これまでに5本が枯死した。宮崎交通に41年間勤務した杉本繁喜さん(74)(宮崎市月見ヶ丘5)は2012年、同社OBら7人で「フェニックスの苗木を贈る会」を結成。堀切峠で撮影したフェニックスを写真立てに入れ、知り合いに販売
するなどして資金集めを始めた。
収益の一部が50万円に達したことから、高さ1~4メートルの苗木や成木16本を購入し、堀切峠の街路樹を管理する県に寄贈した。県は4月以降に植樹することにしている。
杉本さんは「岩切さんの思いが詰まった堀切峠の景観を次の世代に残したい。これからも少しずつ苗木を贈る」と話している。フェニックスの植樹などに関する問い合わせは杉本さん(0985・52・0843)へ。
◇害虫やカビが原因
県によると、フェニックスは県内で堀切峠のほか、大淀川河畔や県総合運動公園などに約2800本植えられているが、年間40~140本が枯死しているという。
原因の一つが害虫のヤシオオオサゾウムシによる食害で、寄生すると新しい葉が出なくなり、やがて枯れるという。防除のため、県は薬剤をまき、民間業者の薬剤散布には補助金を支出するなどしている。
最近はカビの一種「フザリウム菌」による被害も顕著で防除を困難にしているという。フザリウム菌は土の中で繁殖し、フェニックスの樹勢が弱まると根から侵入し、その影響で養分が木全体に行き渡らなくなるという。
堀切峠の枯死はフザリウム菌が原因とみられ、県道路保全課は「薬剤や肥料で防除に努めているが、一度入り込んでしまうと回復の見込みはない」としている。
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