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- ID:
- 29495
- 年度:
- 2014
- 月日:
- 0120
- 見出し:
- 早めのせん定 吉野桜救う…地元団体実証試験
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元URL:
- http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nara/news/20140120-OYT8T01269.htm?from=localtop
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 立ち枯れや、樹勢の衰えが問題となっている吉野山(吉野町)の桜について、密集地で弱った木を伐採したり、枝を減らしたりすると周辺の木の回復に効果があることが、地元の団体でつくる「吉野山桜の学校」の実証試験でわかった。ただ、治療時期が遅れると効果がないこともわかったといい、今後、さらに分
析を進めて保護に役立てたいとしている。(小林元)
実証試験で桜を伐採する「吉野山桜の学校」のメンバー(吉野町教委提供)(昨年2月、吉野町の吉野山で)
吉野山はシロヤマザクラの名所で、標高ごとに「下千本」「中千本」「上千本」「奥千本」と呼ばれ、一帯に密集する計約3万本が次々に花をつける。2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産に登録された。
しかし、近年は樹勢が衰え、幹や枝がコケに覆われたり、若木が立ち枯れたりする被害が目立つように。このため、地元の保護団体「吉野山保勝会」や町など10団体が12年2月、「桜の学校」を発足させ、本格的な対策に乗り出している。
実証試験は昨年2月に実施。吉野山の「中千本」にある如意輪寺付近に植えられた樹齢30年以上で、管理が行き届いていない42本のうち、枯れている木を含む13本を根元から伐採。他の木の枝と重なり合っていた枝23本も切って木の密度を減らし、その後の生育を調べた。
その結果、同年7月には大部分の木の生育に改善が認められ、一部の木の枝の切り口には、傷を塞ぐ新たな組織ができていたという。
一方、木の幹の一部が腐っている木は枝を伐採し、防菌用の薬剤を塗ったが、回復しなかった。
「桜の学校」では今後、桜の木1本ごとに枝や葉、根元の状態や、病害・虫害の有無、樹勢などの項目をチェックし、対策をまとめた診断票を作成する。3万本のうちどの場所の何本を対象にするかや、調査期間・費用などは未定。
「桜の学校」事務局の吉野町教委の担当者は「次世代に吉野山の桜を伝えるために欠かせない作業。1本ずつ丁寧に把握し、必要な場合は伐採をはじめとする思い切った手を打っていきたい」と話している。
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