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- ID:
- 26663
- 年度:
- 2013
- 月日:
- 0130
- 見出し:
- 予算案決定で社会資本の補修加速
- 新聞名:
- 中日新聞
- 元URL:
- http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20130130/CK2013013002000011.html
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- 記事内容
- 二〇一三年度政府予算案が二十九日、閣議決定された。特定の使い道を決めず、自治体の裁量で使えた「地域自主戦略交付金」が廃止された。その代わりに、一二年度補正予算で創設された老朽化した社会資本の維持、補修へ主に充てる「防災・安全交付金」の計上が認められ、県はこの交付金も活
用して県内の橋や道路の補修を進める。減少傾向が続いていた治山・森林整備事業は前年度当初予算比で増額され、県が要望していた林業再生のための基盤整備費用も手厚く配分される見通しだ。
【社会資本の維持補修】
道路やトンネル、橋など社会資本の老朽化対策と防災対策を進めるため、国が自治体へ補助する「防災・安全交付金」には一兆四百六十億円が盛り込まれた。国は経済対策を盛り込んだ一二年度補正予算案にも五千四百九十七億円を計上しており、老朽化した社会資本の維持、補修を急ぐ。
国の予算計上を受け、県も重点的に予算を配分する。建設部は県の一三年度当初予算案で社会資本維持費に、本年度当初比三億七千万円増の百六十四億九千万円を要求し、国の交付金も活用する予定。
社会資本の中でも県内の橋は高度経済成長期に造られたものが多く、県が管理する道路橋三千八百三十カ所のうち、寿命と言われる築後五十年超の割合は二〇一二年で42%。二十年後は68%に高まる見通し。
このため県は、ひび割れたコンクリートの補修や鉄骨の塗装塗り替えを計画的に実施する橋の「長寿命化計画」を〇八年に策定した。県は計画策定時の検査で緊急補修が必要と判断した橋百十八カ所のうち、百十五カ所の補修を本年度中に終える。国の予算化でピッチを上げたい考えだ。また、道路
の長寿命化計画も今後策定する。
【道路整備】
高速道路、自動車専用道路など高規格道路整備費用の総額は本年度当初比0・5%増の五千百三十七億円。社会資本の老朽化対策に重点を置いたため、微増にとどまった。
県内では三遠南信自動車道、中部縦貫自動車道、中部横断自動車道の整備が進むが、具体的な配分は予算案が成立後となる予定。
三遠南信自動車道天龍峡インターチェンジ(IC)-龍江IC間は二〇一五年度に、龍江IC-飯田東IC間は一七年度にそれぞれ開通する予定だ。
【生活困窮者支援】
厚生労働省による生活困窮者への新たな支援体制構築事業に、要求通り三十億円が認められた。貧困や精神疾患などさまざまな問題を抱える人を一体的に支援するため、内閣府が二〇一〇年度に設けたモデル事業を引き継ぐ。
県はこの制度を活用して一一年度から順次、長野、松本、上田、飯田の四市で「パーソナル・サポート・センター」を運営してきた。同センターは、さまざまな課題の相談を一つの窓口で受け付け、多重債務解消や就労、医療支援で支援員が解決策を探ったり専門機関に同行したりして、相談者の社会復帰
につなげる。
ニートや引きこもりといった人たちからの相談も多く、開設から昨年末までの一年半に約千四百人が利用し、四百人の就業につながった。
関係者には政権交代で事業を維持できるか不安視する声もあった。県の担当者は「多くの人を支援した実績がある。引き続き国の事業を活用したい」と話している。
【林業支援】
林業に携わる人を増やす目的で林野庁が実施する「緑の新規就業総合支援事業」に、六十六億円が認められた。このうち、林業大学校などで研修する若者に、生活費として年百五十万円を最長二年間支給する新規事業に三億七千万円が盛り込まれた。
県内の山林に育つ木材は四十年前の四倍近い一億二千万立方メートルに達しているが、生産額はピークの二十年前に比べて一割程度の四十二億円に下落している。就労者も微減傾向が続き、森林環境を維持するためにも、林業で働く人を増やす対策が急務となっている。
国は一二年度補正予算案で治山・森林整備事業に千二百七十億円を計上。一三年度当初予算案にも前年度当初より四十八億円多い千七百九十六億円を計上した。
また、林業者が高性能の機械を購入したり、市町村が木造の公共施設を建築する際に国が財政支援する「森林・林業再生基盤づくり交付金」に十六億一千万円を盛り込み、林業の基盤づくりを進める。
県の担当者は「これまで森林整備事業費は減少傾向が続いていたので、施設も老朽化が進んでいる。国の事業費の伸びに従い、県も対応したい」と期待している。
◆前年度一体編成で経済下支えに有効
阿部守一知事の話 緊急経済対策に基づく一二年度補正予算案と一体的に一三年度予算案が編成され、県経済下支えに有効と評価したい。社会資本の老朽化対策や防災対策、暮らしの安心確保などに重点化が図られ、県としても国の予算を効果的に活用して経済活性化に努める。一方、地方公務員給与の削減を前提にした地方交付税の削減や、臨時財政対策債の増加は問題で、地方分権の観点を強く認識した行財政運営を国に強く求めたい。
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