v10.0
- ID:
- 29190
- 年度:
- 2013
- 月日:
- 1210
- 見出し:
- クリの木の縁=ソチ・
- 新聞名:
- 毎日新聞
- 元URL:
- http://sportsspecial.http://mainichi.jp/news/20131210ddm035070040000c.html
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
- 「クリの巨木がここから日本に運ばれたんだ」。ロシア南部ソチの中心部から北西へ約30キロ。カフカス山脈の渓谷にある集落キチマイで、アイサ・アチミゾフさん(65)は当時の写真を示しながら話してくれた。
1996年。切り出された長さ約18メートルのクリの木6本は、シベリア鉄道と船ではるばる青森市に渡り、三内丸山遺跡のシンボルである大型掘っ立て柱建物の復元に使われた。復元にあたり適当なクリの木を国内外で探し、ようやくたどりついたのがソチだった。
キチマイの山奥には500メートル四方にわたってクリの純林が広がる。伐採は環境に配慮して木の上部をヘリで固定しながら行われた。搬送時に木がばらけないよう輪留めする作業を手伝ったというアイサさんは、「樹齢150〜170年のすばらしいクリだった」と振り返る。
キチマイはカフカス地方の先住民チェルケス人の集落だ。イスラム系のチェルケス人は150年前にカフカス征服をすすめた帝政ロシアの迫害を受け、多数がトルコなどに逃れた悲劇の歴史を持つ。チェルケス人のアイサさんは、自宅横に先祖伝来の生活様式や風習を紹介するミニ博物館を作り、エスニッ
クツーリズム(民族観光)のガイド役を買って出ている。
「ソチ五輪を見に来た人はキチマイに足を延ばし、カフカスの豊かな自然とチェルケス人の文化に触れてほしい。特にクリの木で縁のある日本人は大歓迎だよ」と笑顔を見せた。
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