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- ID:
- 28613
- 年度:
- 2013
- 月日:
- 0911
- 見出し:
- 奥三河産メープルシロップ、商品化にめど
- 新聞名:
- 中日新聞
- 元URL:
- http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20130912/CK2013091202000050.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 奥三河の山間部でカエデから樹液を採取し、メープルシロップを作るプロジェクトが進んでいる。ようやく商品化のめどがつき、二〇一五年春には発売するという。「新しい特産品に育て上げ、地域おこしにつなげたい」と担当者は意気込んでいる。
取り組んでいるのは、測量設計会社社長で環境省自然公園指導員を務める設楽町田峯の加藤博俊さん(60)、同町津具のペンション管理人小久保彰人さん(41)、豊根村上黒川のパン店経営山口美知英さん(64)、設楽町商工会職員の加藤智己さん(37)。
奥三河三町村の四商工会が昨夏、新たな特産品の開発を目指して設立したプロジェクトのメンバーだ。
国内では埼玉県秩父市や北海道で商品化されているが、中部地方では例がない。リーダーの加藤博俊さんは五年前から独自に研究を続け、自然観察会の参加者に味わってもらうところまでこぎ着けていた。
四人は奥三河各地でウリハダカエデやイロハモミジ、ハナノキ(いずれもカエデ科)などを探し、樹種や標高、季節ごとに樹液の採取量を調査。「採れるのは標高三百メートル以上の山間部。季節は二~四月」との結論を得た。
樹皮に小穴を開けてチューブを差し込み、にじみ出る樹液をポリタンクに集める。量は木によってさまざまだが、最高で一日二十リットル採取できた。樹液はとろ火で時間をかけて煮詰め、糖度70%のシロップにする。二十リットルの樹液から二百ccを生産できれば上々という。
メープルシロップを使って山口さんはフレンチトースト、加藤智己さんはラスクを作り、今月初めに開かれたプロジェクトの会合で出席者に試食してもらった。「評価はまずまず。自信がついた」。山口さんは満足そうに話す。
加藤博俊さんは、県立田口高校の鴨山演習林に着目した。ここにある五百本のハナノキから樹液を採れば、原料を確保できる。高校に頼み、採取させてもらう手はずを整えた。
新東名高速道路新城インターチェンジ近くにオープンする道の駅で、一五年春からの発売を目指す。「手間がかかるだけに採算が取れるかどうか」と小久保さん。価格設定をめぐり、四人の議論が続く。
デビュー間近の奥三河産メープルシロップ。「将来は樹液採取の体験イベントも開きたい。絶対ヒットしますよ」。山口さんの提案に、他のメンバーは「いいねえ。やってみよう」。夢は広がる。
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