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- ID:
- 27022
- 年度:
- 2013
- 月日:
- 0304
- 見出し:
- 「まきボイラー」、地域活性に一役 欧州ではすでに成功例も
- 新聞名:
- 産経新聞
- 元URL:
- http://www.sankeibiz.jp/econome/news/130303/ecc1303031334002-n1.htm
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 石油など化石燃料の価格が高止まりする中、各地の山あいの温泉地で「まきボイラー」導入が進んでいる。温度が低い源泉を加熱するために使うが、化石燃料のボイラーに比べると燃料費は格段に安い。まきには地元の山林から出る間伐材が充てられており、地域活性化にも一役買っている。
燃料費削減
「コスト削減の効果がようやく出てきた。お湯が柔らかくなったとも評判です」
岐阜県恵那市山岡町の「花白の湯」で、取締役の丸山貴司さん(50)が顔をほころばせた。静かな里山の温泉施設。2月中旬、焼却炉に似た形状のまきボイラーから白い煙が上がり、近所の人たちが昼下がりの湯を楽しんでいた。
赤字に苦しむ民営の花白の湯は2011年11月、まきボイラーを設置。費用は1000万円を超えたが、3分の2は岐阜県の補助金で賄った。従業員は早朝からボイラーにまきをくべ、内部の槽にためられた水を沸かす。
槽の中を通る管に約17度の源泉を流して温めていくが、当初はうまく機能せず、併用の重油ボイラーに頼っていた。だが、配管を調整して熱効率を上げ、重油使用量は3分の1にまで減った。
山梨県や長野県などの温泉施設でも「まきボイラー」が活躍
福島県鮫川村の村民保養施設「さぎり荘」では、リニューアルに伴い11年4月に導入。担当者は「月50万円くらい燃料費が減った」と喜ぶ。山梨県や長野県などの温泉施設でも、まきボイラーが活躍する。ビニールハウスの暖房に使われているケースもある。
間伐材に新たな需要
花白の湯では、軽トラック1杯分のまきを持ち込むと、入浴券や施設の食事券と引き換える。「そんな面倒なことをする人はいない」(丸山さん)との見込みは外れ、常連客が何人もできた。まきは1日300~400キロは必要で、不足分は恵那市・笠周地区の「木の駅」から購入する。
木の駅には材木としての商品価値がない間伐材が持ち込まれる。1トンが、地区のスーパーや飲食店など約20店で使える6000円の地域通貨「モリ券」に交換される。間伐材は主にチップ工場に売却するが、まきボイラーが新たな需要を創出している。
間伐材を搬出し、まきにする過程で雇用も生まれる
恵那市のNPO法人「地域再生機構」の森大顕さん(30)は「ドイツ南部バイエルン州の村は、公営施設の暖房用にまきボイラーを取り入れており、まきと交換した地域通貨も流通している」と欧州の事例を紹介。「間伐材を搬出し、まきにする過程で雇用も生まれる。手間はかかるが、利便性よりも地域づく
りを求める気持ちが強ければ、まきボイラーは活用できる」と話した。
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