v10.0
- ID:
- 33952
- 年度:
- 2015
- 月日:
- 1003
- 見出し:
- 年輪のように重ねる和
- 新聞名:
- タウンニュース
- 元URL:
- http://www.townnews.co.jp/0607/2015/10/03/302275.html
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
- 年輪のように重ねる和
○…「100mの板と蒸し器を作ってほしい」―。かまぼこ店の後輩から前代未聞の依頼を受けたのは今年5月。持てる技術と知恵を注いで完成させたそれは、いよいよ明日のイベントを待つばかりとなった。
○…(株)木材工房あしがらの社長を務める。サラリーマン生活を送っていた20年前、近所で木造家屋の新築工事に出会う。ゼロから作り上げる仕事への憧れが頭をもたげた。南足柄の製材会社に入社、目で見て体で覚える職人の世界に飛び込んだ。扱う材で全く異なる木の特徴、「分からないことは木
に尋ねて教わった」。3年前、先代が閉めた製材所を、周囲の後押しを受け再開させた。
○…小学校で夢中になったサッカーを今でも続けている。「みんなでゴールを狙うという共通の目的だけで動く。それがいい。芸術的なシュートを繰り出すプラティニは、僕にとってスーパースター」と瞳を輝かせる。モノづくり好きが高じ、バイクのレストア(再生修理)から家具づくりまで、実益を兼ねた趣味は幅
広い。自宅のダイニングテーブルや子どもたちの勉強机もお手製。「遊びに来た友だちに自慢している姿を見ているとうれしくて」と目を細めた横顔に、子煩悩な父親像が垣間見えた。
○…昨年4月、小田原地区木材業協同組合の青年団体・小田原林青会の会長に就任。木材を使ったリフォームの提案や子どもたちへの木育、小田原材での被災地支援など、会の活動は年々活発化している。「地域の材を使ってもらい、地元が潤うことを目指したい」。同じ想いを持つ15人を束ねている。
○…先月末、仲間と福島県南相馬市を訪れた。2度目の被災地。人と人との繋がりから木を介した交流へと発展、今では固い絆で結ばれている。「一人ではできないことも、仲間がいれば心強い。分度を守り、自分たちにできることをしたい」。現地で披露した木遣りに、その思いがこもっていた。
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