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- ID:
-
33931
- 年度:
- 2015
- 月日:
- 0923
- 見出し:
- <鉄道防風林>広葉樹へ植え替え増加
- 新聞名:
- 河北新報
- 元URL:
- http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201509/20150923_73001.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 東北の鉄道沿線で線路を強風や吹雪、なだれから守る「鉄道防風林」が、様変わりしつつある。木材としての価値が高かった杉などの針葉樹から、地域に自生している広葉樹に植え替える例が出てきた。生態系への配慮や景観保全に加え、木材価格の下落も背景にある。
秋田県三種町森岳のJR奥羽線鹿渡-森岳間に広がる鉄道林約7500平方メートルはことし植え替えが始まった。1964年ごろに植えた杉を伐採し、ミズナラやヤマモミジ、アジサイなど15種類の広葉樹の苗木を植える。
5日にあった植樹式には、JRの社員に加えて地元の小学生約260人が参加した。高さ1メートルほどの苗木約7500本を、種類を混在させながら約2500平方メートルに植えた。
アジサイなど開花している苗木もあり、参加者からは鉄道林が新たな車窓からの眺めになることを期待する声もあった。ヤマザクラを植樹した森岳小4年藤原壮良(そら)君(9)は「苗に適した穴を掘るのが難しかった。大きくなった木を見てみたい」と話した。
鉄道林は鉄道網が全国各地に広がった100年以上前に普及し、主に杉が植えられた。雪が吹きだまるのを防ぐなど安定運行に欠かせない一方、高くなりすぎた木が線路上に倒れる恐れがあり、約50~70年ごとに植え替えている。
伐採した木は木材として出荷したり、細かく砕いてチップとして利用したりしている。だが木材価格が以前に比べ下落し、更新コストが以前よりも掛かっていた。
新しい鉄道林は植樹後の管理に手間は掛かるものの、樹種が混在することで豊かな生態系が生まれるほか、自然に生え替わる「天然更新」も期待でき、植え替えの手間が省けるという。
植樹式を指導した森林総合研究所の正木隆・森林植生研究領域長は「高さの違う木が育つことで、鉄道林としての役目だけでなく、地域に豊かな自然環境ができる」と話す。
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