v10.0
- ID:
- 32836
- 年度:
- 2015
- 月日:
- 0404
- 見出し:
- 桜の学校「教科書」できた
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元URL:
- http://www.yomiuri.co.jp/local/nara/news/20150403-OYTNT50184.html?from=ycont_top_txt
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
- 立ち枯れや樹勢の衰えが深刻化している吉野山の桜について、地元の吉野町や保護団体の吉野山保勝会などでつくる「吉野山桜の学校」が、桜の木の育成、保護方法をまとめた管理手引書を作成した。3年前に発足した同校は実証実験で効果を確認した技術などを紹介し、桜の保護に関わる個人や団
体に役立ててもらいたいとしている。
手引書はA4判、119ページ。種子の採取や保存、苗の育て方、植栽の方法、肥料の与え方、下草刈りや病害虫対策などについて、詳しくまとめている。
そのなかでも難しい、桜の種子の育て方については▽種を土に埋めて越冬させるか、ぬれた脱脂綿を入れたビニール袋で冷蔵庫に保管▽病虫害対策のため、殺菌した土に種を植える――などとしている。
約1300年前からご神木として人々が植えてきた吉野山には、約3万本のシロヤマザクラが植えられていると推測されている。正確な本数は不明で、地元の人や桜守の経験に頼って維持管理されてきた。
平成に入り、幹などがウメノキゴケに覆われたり、根や幹に感染すると成長を妨げるとされるキノコの一種、ナラタケ菌の仲間が寄生したりして、枯れる木が目立ってきた。
対策を検討するため、同校は実証実験を開始。密集して植えられている区域の桜の間伐や枝落としをしたところ、日当たりが良くなり一定の効果が認められた。
同校は今後、桜の木1本ずつに番号札を付け、全地球測位システム(GPS)で経度と緯度を測定して台帳と樹木位置図を作成する。1本ごとに枯れや腐り、獣害の有無、キノコやウメノキゴケが生えていないかなどの健康診断表も作る。その結果、緊急に処置しなければならない木を選び出す。「いつ」「どの
木に」「どんな治療をしたか」のデータの蓄積がされ、長期的な桜の管理が可能となる。
手引書をまとめた町教委の担当者は、「今後も内容を見直し、更新していきたい」としている。
..