v10.0
- ID:
- 現場は立ち入り禁止。水抜き栓が並ぶ様子について県の担当者は「築堤時もこんな眺めだったのでは」と思いをはせる
26910
- 年度:
- 2013
- 月日:
- 0222
- 見出し:
- 杉並木オーナー増…真心「社会貢献」と下心「入札有利」
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元URL:
- http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tochigi/news/20130221-OYT8T01603.htm
- 写真・動画など:
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- 記事内容
- 国の特別史跡と特別天然記念物に指定されている日光杉並木を守ろうと、県教委などが設けた日光杉並木オーナー制度の契約数が、2年連続で増えることが確実になった。リーマン・ショック後の2009年度に400を割り込んだオーナー数は、今年2月1日時点で401となり、4年ぶりに大台を回復した。社
会貢献の機運が再び高まってきたと言える一方、新たに契約した企業からは「オーナーになると公共事業の受注に有利」との声も聞かれ、“営業活動”の思惑ものぞく。(都梅真梨子)
オーナー制度では、個人や企業に1本1000万円で杉の木を購入してもらい、集まった資金の運用益を杉並木の保護事業に充てている。根が張った土壌を傷めないよう、道路との境に木製の柵を設ける事業は延長13キロの工事が11年度末に完了したが、柵補修などに費用がかかる見通しだ。
ただ、新規のオーナー数は1996年度の創設から3年目以降は減少に転じ、購入本数の累計も04年度末の558本をピークに右肩下がりに。長期の不況で資金繰りに悩んだ企業の中に、契約を解除して購入費を返金してもらう動きが広がり、10年度末は508本、オーナー数も387にまで落ち込んだ。
11年度にこれが回復に転じた背景には、県が土木工事の入札で、業者を選ぶ基準項目の一つ「総合評価」の中に「地域活動の実践」を追加した影響があるようだ。価格競争だけでなく、節電の取り組みなども考慮する内容で、日光杉並木のオーナーになることも有利に働く。実際、11、12年度(今月21
日現在)に新規契約した企業計12社のうち11社は土木建築、水道施設といった官公需への依存度が高い業種だった。
12年度に新たに1本のオーナーとなった県内の建設会社の担当者は「すでにオーナーになって入札に参加している他社に追いつきたい思いがあった。どうしても受注したい県の事業があったから……」と打ち明けた。
一方、今月中旬までに5本を追加購入し、計73本を持つ最大オーナーの足利銀行は、「我々は今後も継続的に購入していく」(藤沢智頭取)と、あくまで社会貢献活動の一環との考えを強調する。
県教委文化財課は、「どんな理由であれ、地域貢献に目が向けられ、その対象に杉並木が選ばれることはありがたい。景気が回復して、その機運がさらに高まれば」としている。
◆日光杉並木オーナー制度
日光街道の杉並木(延長37キロ)が、樹齢300年を超す老齢化や通行車両の影響などで枯れるケースが増え、保護の必要性を訴えた県教委や日光東照宮が1996年度に創設した。オーナーから集まった資金は「日光杉並木街道保護基金」に積み立てて県が運用し、運用益は日光杉並木保護財団(
理事長・福田知事)が保護事業に使っている。2011年度末の基金残高は約53億円。
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