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- ID:
- 32404
- 年度:
- 2015
- 月日:
- 0120
- 見出し:
- 松枯れの木を建材化 安曇野の会社が販売、青い変色人気
- 新聞名:
- 中日新聞-
- 元URL:
- http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20150121/CK2015012102000014.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 松くい虫の被害木を板材として製品化し、安曇野市内の会社が売り出したところ、思いがけず人気を集めている。被害を受けた材は青みがかってジーンズのような藍色の線が入り、若者を中心に受けているようだ。使い物にならないとされてきた被害木を製品にしたのは全国でも珍しいという。
製品化したのは、木材加工や販売を手掛ける「林友ハウス工業」。同社工場の敷地内にある松林(約一万二千平方メートル)にも五年ほど前から松くい虫被害が出始め、粉砕処理や焼却処分をしても被害はなくならなかった。
松くい虫に侵された木は青く変色し「青変木(せいへんぼく)」と呼ばれる。本来の木材の色ではないため、建材業者の間では価値のないものとされてきた。「大量の木をただ処分していくのはもったいない」。常務の竹腰博毅さん(61)はもどかしさを感じていた。
被害を受け始めてから二年以内で腐食が進んでいない青変木は強度や材質に問題はなく、床板や壁板としては使えるのではないか。こう考えた竹腰さんは昨年春、被害に遭った敷地内のアカマツを伐採し、使用可能と判断した百十本(約六十三立方メートル)を除菌処理をした上で板材として製品化した。
塗装を塗った後。青みがかった模様がレトロと評判=松本市で
写真
取引先の設計事務所や設計士に紹介すると「見た目がアンティーク風でいい」といった好反応が。県内や大阪府、金沢市などから予約が入り、昨年末までに完売した。
松本市梓川のラーメン店主山下純也さん(39)は、改装した店と新築した自宅の床と壁にこの板材を使い、透明の塗料を塗って仕上げた。「もともとレトロな感じにしたかったのでぴったり。値段も比較的安くて助かった」と話す。
「被害木は製紙や燃料用に使うことが一般的だが、床板にするのは全国的にも珍しい」と林野庁研究指導課の課長補佐中島朝長さん。県森林組合連合会の業務部長安原輝明さん(60)は「被害木の使い道がない中でありがたい活用方法。山もきれいになると思う」と期待する。
竹腰さんは「価値がないと思っていたものが活用でき、受け入れられるのはうれしい。多くの人の関心が集まってほしい」と語る。
同社は今春から、安曇野市と連携して同市内で発生した被害木の加工に乗り出し、市施設などにも活用することにしている。
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