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- ID:
- 32332
- 年度:
- 2015
- 月日:
- 0126
- 見出し:
- 沖縄県花デイゴ:危機…薬剤コスト高で 天敵バチで駆除へ
- 新聞名:
- 毎日新聞
- 元URL:
- http://mainichi.jp/select/news/20150126k0000e040173000c.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 沖縄県の県花デイゴが、害虫によって花が咲かなくなったり、枯れたりして危機にさらされている。害虫からデイゴを救おうと、県が新たな対策に乗り出した。これまで薬剤を樹木に注入して被害の拡大を抑えてきたが、コスト高がネックとなっていたため、害虫の天敵を使った駆除を試みる。県は「沖縄のシンボル
である深紅の花を毎年満開にしたい」と期待している。
デイゴはインド原産のマメ科の落葉樹。沖縄では街路や公園など至るところに植えられ、観光ポスターにも登場する南国を代表する花だ。3〜5月に深紅の花を咲かせるが、近年は花が咲かない木が多くなっていた。石垣島(市)では2007〜11年の間、開花が確認されなかった。
原因は体長1〜1.5ミリの害虫「デイゴヒメコバチ」。タイやインドなどに生息する外来種だが、05年に国内で初めて石垣市で確認されると、沖縄本島や鹿児島・奄美諸島に急速に広がった。デイゴヒメコバチが若葉や枝に卵を産み付けると、成虫となって枝などを食い破って出てくるため、無数の穴が開いて
木の成長が止まり、花が咲かなかったり、ひどい場合は枯れたりする。
沖縄県森林資源研究センターは08年、花が咲かないデイゴの幹に特定の薬剤を注入すると影響を抑えられ、予防薬にもなることを確認し、12年に石垣市で6年ぶりにデイゴが開花した。だが、デイゴ1本あたり2万〜3万円の薬剤費がかかる。13年度は県内で把握できたデイゴ約7200本のうち、薬剤
を注入できたのは883本にとどまった。
このため、別の方法を模索。米・ハワイでもデイゴが同様の被害に遭い、天敵の「デイゴカタビロコバチ(仮称)」を使って有効性が実証されていることがわかり、農林水産省の許可を得て沖縄でも利用することを決めた。ハワイの研究では半年間で60%のデイゴヒメコバチを死滅させることができたという。
県はデイゴカタビロコバチを増殖すると同時に、自然に放した場合の環境への影響を調査し、18年には活用を始める考えだ。県森林資源研究センターの喜友名朝次(きゆな・ちょうじ)研究主幹は「花が咲かなくなって『何とかデイゴを守ってほしい』と心配する電話が多く寄せられた。県民にとって心の支え
のような花なので、開花を復活させたい」と話す。
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