v10.0
- ID:
- 32061
- 年度:
- 2014
- 月日:
- 1124
- 見出し:
- 「パワーと癒やしのイチョウ」
- 新聞名:
- 紀伊民報
- 元URL:
- http://www.agara.co.jp/modules/colum/article.php?storyid=284657
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
- 小春日和に誘われ、田辺市中辺路町福定の大イチョウを見に行った。新緑のころと晩秋のころ、毎年のように出掛けるが、見るたびにその荘厳な姿に感動する。
▼根元の案内板には「市の指定文化財(天然記念物)であり、樹高22メートル、幹回り5・3メートル、枝張り直径は24メートル。地上4メートルの場所で数十本の枝が分かれており、別名千本イチョウといわれる」と書かれている。
▼文化財に指定されたのが旧中辺路町時代の昭和45(1970)年。樹齢は当時、推定400年以上といわれていたから、いまでは450年以上になる。7、8階建てのビルに相当するほどの高さと容積のある樹形も美しい。
▼1キロほど離れた国道311号から優美な姿が見えるし、遠く熊野古道・十丈王子付近からも眺められる。下から見上げれば、黄色の葉っぱとそれを付けた数多くの枝に圧倒される。
▼しかし最近は、少しばかり衰弱してきたそうだ。地元の人に聞くと、葉っぱが少なくなったのか、以前は葉に遮られてほとんど見えなかった枝がよく見えるようになってきたという。「木にも寿命があるのかなあ」と寂しそうだった。
▼450年を生きてきたこの木は、見るものに力を与えてくれる。癒やしの巨樹といってもよい。それを大切にしようと、市も天然記念物に指定している。その木が弱ってきたのなら、市が保全と再生策を講じる必要があるのではないか。散り始めの落ち葉を眺めながら、そう思った。
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