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- ID:
- 31837
- 年度:
- 2014
- 月日:
- 1122
- 見出し:
- 紅葉の季節 見つけやすくなるキツツキの姿
- 新聞名:
- 日本経済新聞
- 元URL:
- http://www.nikkei.com/article/DGXMZO79539990R11C14A1000000/
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- すでに冬景色の地域もあれば、冬でも常緑樹が茂っているところもある。日本列島は南北や標高差によって一様でないが、関東の平野部では、師走が近づくと紅葉がピークを迎えるように思う。
■古い木が増え、町にも進出
私たち動物を支える光合成を終えた葉が、散り行く前に色づいてもくれるのだから、ありがとうと言いたい。落葉とともに、冬芽という形でもう来春の準備が整えられることに感謝するのは、冬を乗り越えてからとして、茂った緑の陰で姿を見難かった鳥たちが次第に見やすくなることでも、うれしい季節の到来と言え
る。
コゲラは木の幹にいるキツツキの仲間だ。茶色系でスズメサイズのため、庭や公園にいても気づかれないでいることが多いが、木々の葉が落ちるにつれ、声で気づけば見やすくなる。
野鳥の姿を見るには、こちらが先に気づくことで警戒させないのがコツ。小さいだけに、大きな声ではないが、「ギー」と濁ったコゲラの声は独特なので、一度わかってしまえば、以後は簡単に聞き分けられる。ハシボソガラスの「ガー」やオナガの「ゲー」、カケスの「ジェー」なども濁っているが、コゲラに似ていると
すれば、戸がきしむ音だろう。
小鳥は森で進化した。枝先の虫や実を食すには、小さいことが有利だったに違いない。ただ、虫は幹にもいるし、幹の中を食い進むカミキリの幼虫などもいる。そこにキツツキの進化があった。
アカゲラの雄。ムクドリサイズで「キョッキョッ」と鳴く。雌は後頭部に赤斑がない=写真 石田光史
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アカゲラの雄。ムクドリサイズで「キョッキョッ」と鳴く。雌は後頭部に赤斑がない=写真 石田光史
後ろ向きの指が2本になり(多くの鳥で後ろ向きは1本)、尾羽を硬くして、幹にとまりやすくなっている。皮膚の下では、舌が頭蓋骨を一回りしていて、伸ばせば木の穴の奥まで届くばかりか、幹を突くショックを吸収するようにもできている。
近年、町にコゲラが進出したのは、植栽された木々が大きく、あるいは古くなったからではないか、という見方がある。キツツキの仲間は若い木、元気がよい木ばかりでは生きていけない。食物資源としてだけでなく、巣やねぐらを幹に穴をあけてつくるという習性も関係する。穴をあけられると、木は樹液を出すな
どの対策にでるので、枯れた木、枯れかけた部分がないと穴は完成しないのだ。
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