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- ID:
- 31772
- 年度:
- 2014
- 月日:
- 1111
- 見出し:
- ヒヨドリ食害7割減 ミカンの木を糸でぐるぐる巻き 三重県農業研究所が開発
- 新聞名:
- 元URL:
- http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=30720
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 三重県御浜町にある県農業研究所紀南果樹研究室は、温州ミカンの木をミシン糸でぐるぐる巻きにすると、ヒヨドリの食害を7、8割減らせることを明らかにした。糸は約20~30センチの幅で巻き付ける。木をネットで覆う従来の対策と比べて安価で、作業も木1本当たり3分程度でできるのが利点だ。
・絡まり恐れ近づかず
張った糸に羽が絡まるのを恐れ、鳥が近づかなくなるため、被害が減るとみられている。カラス対策として柿の木に糸を巻く方法はあったが、糸の幅を狭めて小型のヒヨドリにも応用できることを示した。
県内のかんきつ園地では、9月から翌年4月にかけて渡り鳥であるヒヨドリの食害が発生し、対策が急務となっていた。
同研究室では、同町の温州ミカン圃場(ほじょう)で糸を利用した食害防止策を検討。成木19本で試験し、このうち2本の木には何もせず、17本には糸を巻いた。糸を巻いた木は、糸の使用量を変えて、効果を見た。
早生品種収穫時期の10月25日から調査を開始。糸を巻いてから11日、20日、32日後のいずれの時点でも、糸の使用量が多いほど被害が減少することが分かった。
被害は、被害額に経費を加えた額を、無被害時の販売額で割った「被害額率」を算出して比較。何もしなかった木では被害額率が1本平均約20%になったが、糸を巻いて被害を減らした木の中でも被害が少なかった3本では、同5%だった。
この技術のポイントは、糸を張る経費が1本当たり100円程度と安価なこと。糸は、被害の少なかった3本の平均で1本当たり9メートル必要だが、ミシン糸を使うため、糸代は木1本当たり51円。1本当たり3分でできるので、労賃は1時間1000円で換算しても、1本で50円程度になる。
同研究室の市ノ木山浩道課長は「糸の張り方は、ヒヨドリが羽を広げた幅より狭い20~30センチ幅を目安にしてほしい。ポイントは、鳥が侵入しないように木全体に満遍なく張ること」と話す。
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