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- ID:
- 31715
- 年度:
- 2014
- 月日:
- 1106
- 見出し:
- 益子焼 岩手の薪で
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元URL:
- http://www.yomiuri.co.jp/local/tochigi/news/20141105-OYTNT50459.html
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
- 岩手県田野畑村のアカマツが、益子焼を窯で焼く際の薪まきとして提供されることになった。間伐したアカマツの有効利用ができるほか、原発事故以降、安全なアカマツを求めていた益子の陶芸家にも朗報となりそうだ。一連の話を進める益子町の農家橋本晧朗あきおさん(66)は「村と町で陶芸交流ができ
ればうれしい」と話している。
田野畑村は岩手県北部の沿岸にある村で、東日本大震災で大きな津波被害を受けた。NHK連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台になり、名前も知れ渡った。
この村では1961年5月、山火事で大量の森を失った。早稲田大学の学生だった益子町の橋本さんらは、67年からサークル活動として山を借り、アカマツやスギなどを植林して森を管理してきた。
それから50年近く。生育した木の活用方法を話し合う中で、陶芸用の薪にする案が浮上した。石原弘村長に事情を説明したところ、まずは橋本さんたちが管理してきた森とは別の村有林で実践することになった。
陶芸界ではガス窯で器を焼くのが一般的だが、灰のかぶり具合で作品の良さが出ることから、薪を使う陶芸家も多い。特にアカマツは火力が強いが灰は少なく、陶芸に最適とされる。
しかし、益子周辺のアカマツはほとんどがマツクイムシで枯れ、油脂分が抜けて質が悪い。さらに、原発事故による放射性物質が付着しているとして、陶芸家は県外から薪を調達している。
田野畑村では村有林800ヘクタールの半分がアカマツ林で、マツクイムシの被害はない。原発から約300キロ離れていて放射能の影響もないという。
薪は長さ約50センチで6~7本を1束とし、今年は1000束を作る。乾燥させて年明けにも益子町に搬送する予定だ。当面は橋本さんが仲介し、1束300~330円で販売する。
村の担当者は「間伐材はチップや合板にして販売してきた。村外に需要があるのは画期的なこと」と喜ぶ。今後、十数年分は薪を提供できる見通しだ。
登り窯で年間1000~1500束を燃やす陶芸家浜田友緒さん(47)は、震災後、長野県から調達している。「陶芸家は薪の入手に困っているので、田野畑村の薪は魅力的。放射性物質がないのも安心だ」と関心を寄せる。
薪だけを使用する大誠窯の大塚誠一さん(32)も「薪の情報は常に見ている。ストックがなくなる中で(田野畑村の薪を)検討したい」と話している。
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