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- ID:
- 25575
- 年:
- 2012
- 月日:
- 1018
- 見出し:
- 行政・政治 : 八ケ岳の希少植物を守れ 県と茅野市、保護団体が防護柵設置へ
- 新聞名:
- 長野日報
- 元URL:
- http://www.nagano-np.co.jp/modules/news/article.php?storyid=26506
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
- 八ケ岳の希少植物をニホンジカ被害から守るため、県と茅野市、同市内の保護団体などが21日、協働事業として山麓に防護柵を設置する。鹿の進出が著しい八ケ岳では「食害で既に絶滅したとみられる種が出ている」(中部森林管理局)との報告もあり、貴重な植物と生育環境の保全対策を急ぐ。
自然公園法に基づく許可を受け、亜高山帯の民有林内に取り付ける。資材提供する県によると、柵は、雪に強く耐久性に優れる金属製フェンスで高さは2メートル。220メートルにわたって設置し、県条例の指定希少野生植物も生育する場所を囲い込む計画だ。
県自然保護課は「(人間による)違法採取を防止する観点から、具体的な種や設置場所についての公表は差し控えたい」と説明。その上で「食害のほか、踏み荒らし被害も深刻。官民協働で被害の軽減と生物多様性の保全を進めたい」としている。
当日は、市内の希少植物保護団体のほか、同じく県条例に基づく指定種で県天然記念物でもあるミヤマシロチョウの保護活動に取り組む「茅野ミヤマシロチョウの会」のメンバーが参加する。今後、柵の周囲に監視カメラを置くことも検討していく。
同局が2009年度に八ケ岳の高山帯・亜高山帯で実施した植生と鹿害に関する調査では、環境省レッドリストや県版レッドデータブックで絶滅危惧種などに指定されている23科・50種の希少種が見つかった。うち34%に当たる17種で食害を確認。「鹿が侵入できない岩場に生育拠点を置く希少種も多いため
、34%という割合は決して低いものではない」と警告していた。
八ケ岳では、長野、山梨両県の市町村や観光団体などでつくる協議会が、コマクサ群生地の横岳・台座の頭や、北横岳の坪庭などに防護ネットを設置。ウルップソウなどが咲く硫黄岳周辺には、諏訪広域捕獲隊と共に電気柵とくくりわなを設けている。
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