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- ID:
- 25463
- 年:
- 2012
- 月日:
- 1005
- 見出し:
- ブナ葉枯れ拡大 紅葉名所に異変
- 新聞名:
- 朝日新聞
- 元URL:
- http://mytown.asahi.com/miyagi/news.php?k_id=04000001210050002
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 本格的な紅葉シーズンを前に、「紅葉の名所」栗駒山や禿(かむろ)岳周辺でブナ林が茶褐色に変色している。葉がウエツキブナハムシに食べられ、枯れているのだ。今期はブナが黄色に色づきにくく、例年と違った色彩模様になりかねない。
「ブナ葉枯れ」は、今年に入って急速に広がった。初めて被害調査した宮城北部森林管理署の3日のまとめで、被害は大崎市鳴子温泉、栗原市花山、栗駒の3地区で1万2346ヘクタール。この地区にあるブナを含む国有の天然広葉樹林の面積は2万221ヘクタールなので、被害は半分以上に及ぶ。
東北森林管理局によると、ウエツキブナハムシの成虫は体長7ミリ前後。ブナの葉に卵を産む。幼虫も成虫もブナ葉だけを食べる。食害は8月下旬~9月上旬に多い。
被害は5年ほど前に山形県の月山周辺で始まり、南北に広がった。北に向かった葉枯れが秋田県南部の鳥海山周辺で観察され始めた2、3年前から観察され始めた。一昨年度の国有林の被害面積は山形県で8万ヘクタール、秋田県1万ヘクタール。一昨年に山形県新庄市付近で葉枯れが見つかって
おり、奥羽山脈を越えて宮城県北部で広がった可能性があると管理局は推測する。仙台市以南を管轄する仙台森林管理署は、被害を確認していない。
森林管理局によれば、ウエツキブナハムシ駆除に有効な手立てはない。天敵の菌が繁殖し3、4年ほどで葉枯れが収まるのを待つ。他の虫も殺してしまい、水系にも影響を及ぼすため、殺虫剤は散布できない。
9月中旬に栗駒山(栗原市)山麓(さん・ろく)などで観察した全国森林インストラクターの大友良三さんと日本自然保護協会の自然観察指導員親川麗子さんは、落ちている葉や大半を食べられた葉を見た。「実が成熟せず、熊やリス、ネズミのえさが少なくなり生態系に影響が出そうだ」と心配した。
禿岳(大崎市)では、頂上付近までの被害を観察。2人が昨年、初めてブナ葉枯れを確認した山だ。「昨年より上下に広がった」と話した。
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