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- ID:
- 25221
- 年:
- 2012
- 月日:
- 0910
- 見出し:
- 樹木葬、人気集める
- 新聞名:
- 読売新聞
- 元URL:
- http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=64465
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 樹木の下に遺骨を納める「樹木葬」が、人気を集めている。
多摩地区でも官民が樹木(樹林)墓地の利用者を募ったところ、予想を上回る希望者が殺到した。従来の墓に比べ、価格が安く、死後は自然にかえるという考え方が人気の理由だが、一方で核家族化が進み、墓を守ることを負担に感じる人が多く、墓地に対するニーズが変化していることもうかがえる。
「そこの区画は空いているの」「お墓参りはどこですれば」。奥多摩霊園(東京都奥多摩町)で2日、仏事関連総合サービス「メモリアルアートの大野屋」が企画した、家族で入るタイプの樹木葬墓地の説明会が開かれ、都心や他県から参加した45人が、熱心に担当者に質問していた。
参加者は、ソメイヨシノが植えられ、奥多摩の山並みを望む一角に設けられた納骨用の区画(一区画あたり約60万円)を見学。申し込みを済ませた小金井市の女性(67)は「娘しかおらず、石の墓を作っても継いでくれる人がいない。娘には管理などで迷惑をかけたくないし、桜の下で土にかえるという趣旨も
共感できる」と話していた。
同社は4年前から、販売を始めた原則本人のみの樹木葬墓地の売れ行きが好調で、今年4月から家族タイプの販売を始めたところ、約3割が売れ、年内の売り上げ目標を既に達成した。
都立霊園初の樹林墓地を整備した小平霊園(東村山市など)でも、7月に利用者を募集したところ、定員の16・3倍の応募があった。
同霊園の樹林墓地は、コブシやヤマボウシなどが植えられた834平方メートルの敷地に穴を27か所開け、一つに約400体分の遺骨が納められる。使用料は1体約13万円、粉末の場合は約4万円と、一般墓地の1平方メートルあたり約80万円に比べて格安で、管理料も不要だ。
都は「生前の申し込みが多く、墓の後継ぎがいないなど、管理が難しい人が選んだのではないか」とみており、来年度の募集数を増やすことを検討している。
町田いずみ浄苑(町田市)内にある、NPO法人「エンディングセンター」の樹木葬墓地でも、問い合わせが多く、見学会の回数を増やすなどして対応している。
夫と長女と共にこの墓地に入ることにしている相模原市の女性(70)は「墓を守るために子どもに負担をかけたくない。散骨も考えたが、夫や子どもに先立たれた場合の不安があった。自分の思い描いた形で最期を迎えられそうで、思った以上の安心感がある」と話す。
同法人理事長の井上治代・東洋大教授は「(樹木葬の人気は)核家族化が進んだ先進国で共通している。墓を代々継ぐことに現実味がなくなっており、樹木葬は今後さらに増えるだろう」とみている。
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