v10.0
- ID:
- 52452
- 年度
- 2011
- 月日:
- 1221
- 見出し:
- 縁側のある平屋 「必要なもの」を吟味
- 新聞・サイト名:
- 西日本新聞
- 元URL:
- http://nishinippon.co.jp/nnp/lifestyle/topics/20111218/20111218_0001.shtml
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 長崎街道の宿場町として栄えた福岡県筑紫野市山家に昨年6月、坂本寛之さん(37)陽子さん(38)夫妻と長男の蔵之丞(くらのすけ)君(4)の3人家族が、15坪(約50平方メートル)の平屋を建てた。
扉や廊下は極力省く。大きなたんすも要らない。でも、縁側が欲しいね。遊んだり、野菜が育てられる小さな庭もあったら-。そんな家族の思いが、木造りの平屋になった。
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「夫婦2人から家族3人になって、その生活に合わせた家を造ろうと。予算に見合う土地が決まったら、要るもの、要らないものの仕分けに時間をかけました」。夫婦が話し合いを重ねた「本当に必要か?」の問いかけ。それは、整然と並ぶお皿の数から空間の使い方まで、徹底している。
外から引き戸を開けると即、居間。玄関はなく、靴の着脱のために奥行き30センチほどのスペースがあるのみだ。天井を高めにとった居間は、食事時は家族だんらんの場に、日中は建築士である寛之さんの仕事場に、夜は再びくつろぎの空間へと多くの機能を兼ねる。
食卓周辺の木製20+ 件棚にはティッシュケースや調味料、雑誌などがぴったりと収まる。物のサイズに合わせて収納を手作りしているからだ。台所も家族の食生活に合わせ、一升瓶からしょうゆの瓶まで細かくサイズを測り収納を考えた。シンク下には扉はなく、ラックに鍋やフライパンが並ぶ。
家の中にはほとんど扉を付けなかった。「家の隅々まで把握できて、暮らしがイメージしやすいんです」と寛之さんは語る。
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雨の日は屋根をたたく雨音がする。風の日も静かな日も外の空気の動きを感じ取ることができる。木造の家は外と内を遮断しない。
「いつの間にか、家という仕切りが広がってきましたね」。建物の周囲には、どうしても欲しかった縁側がL字形に伸び、庭にはレモンやブルーベリーの木が枝を伸ばす。ユズは「ユズごしょうを作りたかったから」植えた。本当に必要なものを吟味し、欲しいものはなるべく自分で作る。そんな考えが、3人暮らしをい
とおしく、豊かに彩っている。
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