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- ID:
- 49645
- 年度
- 2011
- 月日:
- 0205
- 見出し:
- 蔵屋敷移築、文明開化の音がする 随所に洋風技法 松本
- 新聞・サイト名:
- 朝日新聞
- 元URL:
- http://mytown.asahi.com/areanews/nagano/TKY201102060209.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 松本市の中町通りにある市はかり資料館の敷地内に、明治時代の材木問屋が客人をもてなした「旧三松屋蔵座敷」が移築され、11日に資料館の一施設としてオープンする。蔵といえば和風のイメージだが、洋風の技法が随所に取り入れられ、文明開化期の松本の大工棟梁(とうりょう)の意匠を凝らしたモ
ダンな雰囲気が漂う。「蔵の町」として知られる中町通りの新名所として、市は展示や学習の場など人々が集う空間として活用していく。
旧三松屋蔵座敷は、国重要文化財の旧開智学校を手掛けた大工棟梁・立石清重(せいじゅう)(1829~94)が設計・施工した擬洋風建築で、1893(明治26)年に現在の松本市旭1丁目に建てられた。2001年に市が所有者の7代目当主から譲り受けた。老朽化が進んでいたため、市はいったん解体
し、中町通りで公開、活用していくのがふさわしいとして、はかり資料館北側に購入した空き地に移築することにした。
建築基準の関係で完全復元ではないが、解体したときの材料をできる限り使い、釘の打ち方なども当時と同じように移築を進めた。
2階建てで、1階は和室と茶室、2階は洋室。2階の窓は上げ下げ式のガラス窓で、ケヤキの額縁のカーテンボックス付き。ランプをつるす天井には唐草模様の飾りが施されている。玄関には三角形の木彫りのレリーフが飾られ、外壁は漆喰(しっくい)壁の保護のため黒い下見板に覆われている。
市教育委員会は「近世の伝統と文明開化を融和させた建築。近代建築という新しい分野にも挑戦し、信州で擬洋風建築の発展に努めた立石の集大成」と位置づけている。
市は博物館を拠点としたまちづくりを進めており、旧三松屋蔵座敷についても市民に活用してもらいながら保存していく方針。11日のオープンに合わせて松本ゆかりの民芸品を展示するなど、さまざまな企画展を開くほか、茶会や俳句会、松本の歴史を学ぶ連続講座なども催す。
蔵座敷の中庭で紙芝居大会の開催も計画しており、田中健太郎館長は「子どもたちに親しんでもらう場所にするための催しもたくさん用意し、魅力あるまちづくりに貢献したい」と話す。
資料館の観覧料は200円(中学生以下は無料、月曜休館)。11~13日はオープン記念で無料。
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