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- ID:
- 51018
- 年度
- 2011
- 月日:
- 0715
- 見出し:
- 直接取引が増加傾向 プレカット普及が要因
- 新聞・サイト名:
- 秋田魁新報
- 元URL:
- http://www.sakigake.jp/p/special/11/morinokuni/article3_05.jsp
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- 製材品の流通形態も大きく変わってきている。製材業者と住宅メーカーが、市場や材木販売業者を通さずに、直接取引するケースが増えている。自前のプレカット工場を備えた住宅メーカーが多くなってきたことが要因。このため、これまで価格形成機能を担ってきた市場は取扱量が低迷、苦戦を強いられて
いる。
プレカット工場は、工期短縮やコスト削減を目的に整備が進んだ。現場施工する前の住宅部材を大量に加工することから、規格が均一の製品が必要となる。規格に合った製品が直接製材業者から入手できれば、市場で実際に製品を確認したり、高品質の製品を競り落としたりして確保する必要がない。
製材業者と直接取引することで、一層のコスト削減も可能になる。
直接取引が増えている背景には、製材工場で人工乾燥機の導入が進んだこともある。導入により、同一規格の製品を大量に生産、出荷できるようになった。県北地区の製材工場では、製品の2~3割を、大手住宅メーカーなどからの注文を受け、プレカット工場に直送している。担当者は「住宅建築に関
わる物流拠点が、製品市場からプレカット工場に変わった。住宅向け部材を出荷するならば、直送への対応が必要だ」と話す。
展示されている製材品を品定めする業者=秋田市の秋田中央木材市場
プレカット工場を備えた住宅メーカーと直接取引することで、製材品の用途が明確になり、ニーズに合わせた改良も可能になる。「以前は板を製材しても販売は市場任せで、どういった用途に使われるか意識しなかった。品質の高いものを作れば売れる時代ではない。需要に応じた生産を重ねることが求めら
れている」と話した。
一方で、製品市場は取扱量が激減、販売委託料も大きく落ち込んでいる。秋田市の秋田中央木材市場(工藤茂丸社長)ではここ数年、販売委託料が年間5億円ほどで推移。最盛期だった1970~80年代の10分の1まで下がった。
同市場ではムク材の柱や板などを主に取り扱っており、天然秋田杉や樹齢70~90年ほどの人工秋田杉を用いた高級製材品がほとんど。製材品は製材工場から市場に出荷され、等級により基準価格が決められる。需要の高い品は競りにより落札される。工藤社長は「建築主体が、大工や工務店から、
大手住宅メーカーに変わった。住宅部材は、プレカット工場で加工したものが多くなり、製品市場に対する需要が減った」と説明する。
製品市場は今後も取り扱い規模が縮小するのが必至と見込まれる。工藤社長は「今後も価格形成機能は担っていくことになるだろうし、需要が全くなくなることはない。しかし、市場として生き残っていくためには、製材業者と共同で新たな製品を開発するなどの取り組みが必要だ」と話した。
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