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- ID:
- 50580
- >年度
- 2011
- >月日:
- 0530
- >見出し:
- 夕やけだんだんの桜、伐採へ 腐朽激しく
- >新聞・サイト名:
- 朝日新聞
- >元URL:
- http://mytown.asahi.com/areanews/tokyo/TKY201105270623.html
- >写真・動画など:
- 【写真】
- >記事内容
- 夕焼けの名所として知られ、下町めぐりの人気スポットになっている東京都荒川区西日暮里の「夕やけだんだん」の桜が30日に伐採されることになった。樹齢65年以上で腐朽が激しく、倒れる恐れがあるためだ。この春、最後の花見を楽しんだ住民たちは、老木との別れを惜しんでいる。
桜の木が立つのは、下町風情を残す谷中銀座商店街を見下ろす階段の上。「夕やけだんだん」と書かれた丸太型の案内のすぐ横だ。都第六建設事務所(足立区)によると、高さは6.8メートル、枝葉は10メートル近く広がる。大島桜とも言われるが、はっきりしない。
毎年春になると見事な桜が咲き誇り、地元の人たちや買い物客らの目を楽しませてきた。夏には生い茂った葉で木陰ができ、坂を上り切ったお年寄りがひと休みする場でもあった。
しかし、木は年々道路側に傾き、昨秋、「倒れそうだ」と住民から連絡があった。都は危険だと判断し、12月に伐採を決めた。
その後、住民から「何とか残してほしい」という要望が上がったため、予定を中断して樹木医に診断してもらったが、幹の内部に大きな空洞があり、「放置すれば近いうちに倒れる危険性が高い」という判断が出た。
「せめてもう一度花見をしたい」という住民の要望を受け入れ、都は伐採を春以降に延ばすことにした。2月には4本の支え木で応急処置を施した結果、3月11日の震災にも耐え、春には立派な桜を咲かせた。
近くの住民からは惜しむ声が絶えない。雑貨屋「谷中松野屋」を営む松野きぬ子さん(55)は毎年お花見をし、秋にはみんなで落ち葉をはいた。「1本の木だけどコミュニケーションの場だった。さみしい……」。大正時代から続く大島酒店の大島常一さん(80)は「毎年春が楽しみだった。残念でなりません」。
そんな中、接ぎ木などで後継の木を残す試みも始まっている。保存に奔走した串揚げ屋「波MAKASE」の大宮俊英さん(41)は「そばにもう一度植えたい」と願っている。
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