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- ID:
- 48993
- 年度
- 2010
- 月日:
- 1207
- 見出し:
- ケヤキ:「太鼓の森」夢に植樹 減少に危機感、NPOが来春
- 新聞・サイト名:
- 毎日新聞
- 元URL:
- http://mainichi.jp/enta/art/news/20101206dde041040035000c.html
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
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太鼓文化の普及活動をしているNPO法人日本太鼓協会(埼玉県伊奈町)が来春、同県東秩父村で、和太鼓の素材となるケヤキの植樹事業に取り組む。堅い材質と光沢の美しさから建築や家具材にも使われてきたケヤキだが、戦後の針葉樹の植林で減少し、ケヤキ太鼓も高級品となった。「伝統楽器を
継承し盛り上げたい」。そんな思いで、苗木が育つ200年後に向けての活動を始めた。【藤沢美由紀】
取り組みのきっかけは、今夏に福祉施設で行った太鼓の演奏会。会長の諏訪幸男さん(56)は年配の女性から「太鼓って何でできてるんですか」と尋ねられた。「太鼓の胴は木、皮は牛でできている」と説明したが「日本に古くからある楽器があまり知られていないことを痛感した」。
太鼓の胴は通常、幹の中をくりぬき外側を削って作る。国産ケヤキだと1・6尺(48センチ)で約50万円。諏訪さんによると、太鼓にできる太さのケヤキの木は減っており、価格は急騰している。シオジやセンなど他の木材なら同じ大きさでも10万~30万円、中国製の松なら3万円ほどという。
諏訪さんはケヤキの植林を通して太鼓文化を広めようと考え、林野庁の助成金交付事業(70万円)に応募し採用された。企画に賛同した県が、東秩父村の杉林約4000平方メートルを伐採して植林地を用意してくれることになった。来春、ケヤキなど落葉樹の苗木約150本を植える。会員らが草取りなど
を行い、和太鼓の演奏もして地域を盛り上げる。
「練習用には中国産もいい。だが音の響きがよく、木目も美しい古来のケヤキ太鼓も守りたい」と諏訪さん。植えたケヤキが太鼓の素材になる大きさまで育つのは約150~200年後という。
「最後まで見守ることはできないが、後世に残したい」
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