v10.0
- ID:
- 46115
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0524
- 見出し:
- 被爆樹木で楽器製作
- 新聞・サイト名:
- 読売新聞
- 元URL:
- http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hiroshima/news/20100523-OYT8T00831.htm
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- ハンガリーの民族楽器コカリナの演奏活動をしている黒坂黒太郎さん(60)(埼玉県飯能市)が、爆心地から約1・1キロの場所で被爆したエノキで作られたコカリナによる演奏曲を含む15曲を収録したCDを発売した。黒坂さんは「原爆を耐え抜いた生命力やエネルギーに満ちた音色です」と話している。
コカリナは細長い木の筒に6か所の穴を空けた木製の吹奏楽器。小鳥がさえずるような澄んだ音色が特徴で、通常は1本で演奏するが、最大で6本を横につなげて演奏できる。シンガーソングライターだった黒坂さんが1995年にハンガリーを訪問してコカリナの優しい音色に魅了され、日本に持ち帰った。
黒坂さんは毎年8月、広島市内で高校生らが主催する平和コンサートに参加。2001年に高校生から「特別な木があるので、これでコカリナを作って」と、樹皮が真っ黒に焼けたエノキ材を手渡された。現在の中区基町にあった旧陸軍病院の庭で被爆したエノキで、台風で折れて、地元の高校に保管されてい
た。
真っ黒な樹皮をはがしても、少し黒ずんでいたため、「あまりいい音は出ないのでは」と、期待していなかった。しかし、できあがったコカリナに息を吹き込むと、透明感と力強さを兼ね備えた音が響いた。
コンサートの締めくくりに、このコカリナで平和への思いを訴えてきた黒坂さんは「力強い音色の被爆エノキのコカリナが奏でる平和への願いを、多くの人に聞いてほしい」と願う。
CD「ザ・コカリナ 黒坂黒太郎と森のコカリナアンサンブル」は、スペインで平和を願って作られた「鳥の歌」を被爆コカリナで演奏したものなどを収録。1枚3000円。問い合わせはキングレコード(03・3945・2123)。
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