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- ID:
- 48063
- 年度
- 2010
- 月日:
- 1007
- 見出し:
- 餌不作、クマ遭遇ご用心 東北で目撃急増1442件
- 新聞・サイト名:
- 河北新聞
- 元URL:
- http://www.kahoku.co.jp/news/2010/10/20101006t73028.htm
- 写真・動画など:
- 【イラスト】
- 記事内容
- 東北でクマの目撃情報が異常なペースで多発している。各県などによると、集計を終えている1~8月の届け出は計1442件に達し、既に昨年1年間の計1174件を突破。人里への出没はブナの実などの餌不足が原因とみられている。秋はクマが冬眠前の餌探しで動きを活発化させるため、専門家らは警
戒を呼び掛けている。
各県などによると、目撃情報の件数はグラフの通り。青森を除く各県で既に昨年1年間を上回り、岩手、宮城、秋田の3県で全体の8割近くを占める。出没場所は山のほか、人里や市街地も少なくない。
盛岡市では7~8月、市動物公園にクマが現れ、3日間の休園に追い込まれたほか、同市北部の住宅街の民家の敷地などでも目撃された。仙台市西部でも7月、出没情報が相次ぎ、中には市秋保総合支所駐車場での目撃情報もあった。
人身被害も相次いでいる。喜多方市の男性=当時(70)=は5月、同市の山林で山菜採り中に襲われ死亡。岩手県では1~8月で男女計12人が重軽傷を負った。東北6県でのクマによる死傷者数は1~8月で、計24人に上った。
東北では8月末までに各県が前年同期とほぼ同数の計約440頭を有害捕獲しているが、9月に入ってもクマの目撃や、クマに襲われる被害は後を絶たない。福島県磐梯町の役場では27日、クマが玄関側面のガラスを突き破って逃げる騒ぎがあった。キノコ採りや農作業中の人がクマに襲われ、負傷する
事故も各県で発生している。
森林総合研究所(茨城県つくば市)の大井徹・鳥獣生態研究室長は「ドングリなどの餌不作が関係している可能性がある。食べ物が少ないと広範囲で行動し、里に下りることも多くなる」と分析する。
東北森林管理局が8月に発表した福島県を除く東北5県のブナの結実予測では、秋田は「皆無」。青森、岩手、山形も「凶作」と芳しくなく、宮城は「並作」だった。
元秋田県職員でNPO法人日本ツキノワグマ研究所(広島県廿日市市)の米田一彦理事長によると、10月は大型のクマが出没する時期で、襲われた場合の被害は重傷になりやすいという。
クマは警戒心が強いとされ、専門家や各県警は対策として(1)入山時は鈴やラジオなど音の出る物を携行し、自分の存在をクマに知らせる(2)遭遇したら大声を出さず、背中を見せないで離れる(3)食べ残しは持ち帰る(4)住宅の周囲に餌になりそうな生ごみを置かず、農作物は残さず収穫する―などを挙げている。
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