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- ID:
- 47900
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0929
- 見出し:
- シカから樹皮守れ、土に返るネット 福井の企業が開発
- 新聞・サイト名:
- 朝日新聞
- 元URL:
- http://mytown.asahi.com/areanews/fukui/OSK201009280152.html
- 写真・動画など:
- 【写真】
- 記事内容
- シカに木の樹皮を剥(は)ぎ取られる被害を防ぎ、生態系の保全にも役立てようと、福井市の防除資材メーカーが全国で初めて「土に返る」防除ネットを開発した。背景に、森を舞台に深刻化するシカと人間のせめぎ合いがある。森林所有者らによる防除対策が10年余りで急激に拡大し、県はシカの捕獲目
標を引き上げている。
若狭町日笠の林で27日、杉約420本に腹巻きのようにネットが巻かれた。福井市の「グリーンコップ」が今春開発したクマ・シカの樹皮剥ぎ防止ネット「ARC(アーク)」。日本初という、ゴミにならない生分解性の防除ネットだ。紫外線や水と反応し、8~10年で分解される見通しという。
この日作業にあたったれいなん森林組合職員の寺本貴史さん(37)は、根元近くから高さ約1メートルまで樹皮がめくれた杉を指さし、「シカでしょう」と話す。ニホンジカは樹皮を食べ、角が生えると頭部をこすりつけるため、幹が傷つき木材の値段が下がる。クマも樹皮を剥ぐという。
傷が深いと、木が立ち枯れる。長谷川雅雄社長は「立ち枯れの続発は山の保水力の低下につながる。森林所有者の財産を守るだけではなく、生態系を守ることにつながる」と対策の必要性を話す。
県農林水産振興課によると、シカやクマによる県内の森林被害は1996年に100ヘクタールを超え、2002年に576ヘクタールまで増えたが、09年は84ヘクタールに急減した。同課鳥獣害対策室は、木にネットやロープを巻く「防除」で抑えたとみる。99年に50ヘクタール弱だった防除面積は09年、830ヘ
クタールに上った。グリーンコップの従来型ネットも、昨年1年間に全国で1千ヘクタール、100万本以上の木に使われたという。
一方、95年に133頭だったシカの捕獲数は昨年、5606頭に達した。県は08年に作った特定鳥獣保護管理計画の変更に着手。嶺南での捕獲目標を年間4千頭から6千頭以上とし、わなの使用に限って猟の期間を1カ月延ばして3月15日までにする予定だ。
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