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- ID:
- 46745
- 年度
- 2010
- 月日:
- 0708
- 見出し:
- 温室効果ガス、排出枠の海外購入中止…国内拡充
- 新聞・サイト名:
- 読売新聞
- 元URL:
- http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20100708-OYT1T00682.htm?from=os4
- 写真・動画など:
- なし
- 記事内容
-
2008~12年に1990年比で温室効果ガスの排出を6%削減という京都議定書の目標達成のため、政府や各企業が進めてきた海外からの排出枠購入について、政府はこれまでの調達分で“打ち止め”とし、今後は、国内での排出削減を強化する方針を決めた。
中小企業や農業分野などで削減できた分を電力などの大企業が買い取る「国内クレジット制度」による削減量を議定書期間中に現在の100倍に当たる1億トンまで増やす。各地で小口の省エネ事業を加速させ、関連産業の活性化、雇用の拡大を狙う。
海外からの排出枠の購入は、政府が1500億円かけて1億トン、電力業界は2・5億トン、鉄鋼業界は5600万トン分を購入済みだ。電力・鉄鋼分は6000億~8000億円かかったと推計される。
日本の温室効果ガスの排出量は、リーマン・ショック後の経済低迷で、2008年度は1990年に比べ1・6%増の12億8200万トンと、2007年度の同8・5%増の13億6900万トンから激減した。森林吸収分や海外から購入した排出枠分を含めれば、目標を達成できる可能性があるが、確実にするには
削減の積み増しが必要だ。
特に、電力会社は、原子力発電が予定通り稼働しない場合に備えるなど、「さらに数千万トン分の排出枠の追加調達が必要」(経済産業省)とされる。
このため、政府は、追加調達に回る分を国内クレジット制度に振り向ける方針を決め、まず電力会社に購入を要請することにした。
国内クレジット制度は、08年の開始以来、大企業74社が支援して中小295社で行う省エネ事業が承認され、進められてきた。
例えば、福島県内の製材工場は、重油ボイラーを二酸化炭素(CO2)の排出ゼロと見なされる木質ボイラーに変えた結果、CO2の排出が年800トン、燃料・維持管理費は年700万円減少した。事業総額は1億円以上かかったが、うち半額は林業振興の補助金で賄えたうえ、クレジット販売代金として、
電力会社から200万円近くが入るため、事業に踏み切った。
制度による省エネ事業を軌道に乗せるには、林業振興や省エネ機器支援など様々な補助金をうまく組み合わせるのがカギとなる。今後、経済産業、環境、農林水産3省が協力して、地域ごとに自治体、電力会社、中小企業団体、金融機関などと連携し、中小企業や農家の省エネ診断や計画作りを手伝
い、制度を拡充していく。
◆国内クレジット制度=京都議定書目標達成計画の軸である産業界の自主行動計画に沿って大企業が削減を行う際に、使える仕組み。中小企業や農業分野などでの削減分を買い取る形で資金を提供し、自主行動計画上、自らの削減として算入できる。
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