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ID :  367
公開日 :  2006年  2月23日
タイトル
[世界が救援活動に全力を
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新聞名
徳島新聞
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元URL.
http://www.topics.or.jp/Old_news/s060223.html
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元urltop:
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写真:
 
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フィリピン中部の南レイテ州(レイテ島)で起きた大規模な地滑りの被害が深刻化している。  土砂にのみ込まれた村一帯では約千人の住民が行方不明となっている。天候などの悪条件が重なる状況にあるが、各国の救援隊は力を合わせて、一刻も早く被災者を助け出してほしい。  現場一帯では、これまでに百人余りの遺体が確認された。土砂に埋もれた小学校には児童ら約二百五十人がいるとみられ、家族らは不安を募らせている。  沖縄駐留の米海兵隊や台湾の救助隊などがシャベルを使って土砂を取り除いているものの、作業は高さ三十メートルもの土砂に妨げられ、難航している。  断続的な雨が降る現場は土砂の状態が不安定で二次災害の危険もあるという。地元赤十字の幹部からは捜索や遺体収容作業の打ち切りを求める声も出ているが、引き続き捜索活動に全力を尽くしてもらいたい。  日本など国際社会からの物資補給も本格化している。一層の支援を求めたい。現場では高温多湿の天候から感染症がまん延する兆しが表れ、精神的な不調を訴える住民も出始めた。衛生面や健康面の対策も急がれ る。  日本の国際医療援助団体「AMDA」も現地入りした。各国の医療活動を強化する必要があろう。  南レイテ州では二週間ほど雨が降り続き、地滑りまでの降水量は二月平均の三倍以上の四八〇ミリに達していた。現場一帯は地盤が緩んでいたようだ。  レリアス州知事は、現場周辺で行われていた森林の違法伐採が災害原因の一つである可能性も指摘した。  フィリピンでは貧困から違法伐採の現場で働く住民は後を絶たない。背景には地元政治家と業者が結託している事情もあるという。一九九一年にレイテ島北部オルモックで約七千人が死亡した土砂災害でも違法伐採の 影響が指摘された。  フィリピン政府は、各地に巣くう構造的な腐敗の一掃にも力を尽くさなければならない。地球環境保全の観点から国際的に森林保護の取り組みが求められることは言うまでもない。  年間約二十もの台風が襲来するフィリピンは暴風雨も発生しやすい自然条件にある。今回の降雨は、海面の水温が平年より低い状態が続く「ラニーニャ」現象の影響によるとみられている。  財政力が弱い発展途上国のフィリピンで、再三発生する自然災害から住民を守るためには、警報システムの整備などが急務である。日本など国際社会の技術支援が必要だ。  台風などの豪雨のたびに被害をもたらす土砂災害対策は、わが国でも大きな課題となっている。  徳島県は台風の通り道に当たる上、山間部を中心に急しゅんな地形が多く、土砂災害が後を絶たない。二〇〇四年八月の台風10号による豪雨では那賀町を中心に土砂崩れで住宅の倒壊などが相次ぎ、旧木沢村で二 人の犠牲者が出た。山間部で暮らす住民は、大雨のたびに危険にさらされている。  災害はいつ起きるか分からない。国や県は危険な斜面などの対策工事を早急に進めてもらいたい。  災害に備えた住民の連絡網や避難場所の確保などは十分だろうか。いま一度、点検する必要があろう。